劇場版 七つの大罪 天空の囚われ人(2018)
監督:西片康人
出演:梶裕貴、雨宮天、久野美咲、
悠木碧、鈴木達央、福山潤etc
評価:70点
この夏は、『未来のミライ
』や『ペンギン・ハイウェイ
』のように如何にも老若男女楽しめる夏休み映画に見せかけて、実態は形而上の世界を描いたトンデモ映画だったり、『インクレディブル・ファミリー
』のようにロビイストの実態を暴いた政治映画だったり、『ミッション:インポッシブル/フォールアウト
』に関してはあまりの危険なアクションに観客がトム・クルーズを心配し始める異常事態が発生していたりと子どもが純粋に楽しむには割とハードな作品が多い。ただ、ブンブンが先日観た『劇場版 七つの大罪 天空の囚われ人』は誰が観ても安心する、夏休みのエンターテイメントムービーでした。
『劇場版 七つの大罪 天空の囚われ人』あらすじ
魔神族により滅亡の危機に瀕したリオネス王国を救った《七つの大罪》と王女エリザベスは、旅の道中奇妙な現象に出会う。団長メリオダスが姿を消し、代わりに外見がそっくりな男ソラーダが一団の前に現れたのだ。一方、等のメリオダスは、マスコットのホークと池に飛び込んだところ、天空の城ラピュ…ゴホンゴホン、天空宮にたどり着いた…多少の粗はあるが、大人も燃えるインフレアクションに注目
『七つの大罪』はフランスに留学していた頃、少し日本文化が恋しくなり嵌ったことがある。通常、アクション漫画というのは、友情努力勝利の方程式に従って物語が進む以上、パワーインフレが起きがちだ。そしてチートにはチートを後付け後付けで継ぎ足される無敵を打破する技術に、読んでいく方は段々興醒めしてしまう。それを上手く逆手に取ったのが休載王・冨樫義博の『HUNTER×HUNTER』だ。チートレベルの攻撃手法によるバトルを前面に出していき、チートとチートのぶつかり合い、そこに微かに忍ばせるスマートなアイデアが読む者の心を掴み離さない。そして鈴木央の『七つの大罪』は、その『HUNTER×HUNTER』の精神を引き継いだ漫画だ。明らかにならず者集団《七つの大罪》は『HUNTER×HUNTER』における幻影旅団を意識している。ヴィランで、最強凶悪なんだけれどもユーモラスな集団という魅力を前面に押し出した作品だ。
さて話は映画に戻そう。本作には多少の物語の粗はある。いくらソラーダとそっくりとはいえ、羽はないし、口調も違うし、「俺はソラーダじゃない」と言いまくっているにも関わらず、村人もソラーダの親族ですら、メリオダスを勘違いし続けるのは幾ら何でも「気づけよ!」と言いたくなる。また、ボスキャラ扱いのベルリオンは小手先の技しか持ち合わせておらず、ボスキャラとしての風格がなさすぎるといった問題がある。また、天空と地上のワープゾーンとして泉という装置を用意しているにも関わらず、七つの大罪は泉をガン無視して天空に強行突破していくところなんか非常に滑稽だ。
ただ、そんなものはどうでも良くなる程、アクション、アクション、アクションを魅せてくれる。それぞれの技を単体で披露する。ソロの戦いから、集団の戦いへとシフト。強大な敵に関しては、技と技をリレーでパスしながら的確にゴールを決めていく。まるで、FCバルセロナのようにキラキラと輝くパワープレイ、スーパープレイに心が踊ります。また、本作のアクションは、多くの映画が陥りがちな《物語なきアクション》というのを見事に回避している。キチンとアクションの中にドラマを魅せて行くのだ。巨人族のディアンヌは団長メリオダスにメロメロだ。しかしながらその恋心に気づかない。それを、ディアンヌに恋する妖精族のキングは嫉妬している。少しでも、良いところを魅せようと、彼女がピンチになると彼が助けに来る。そして、最後は一緒に敵を成敗し、ハイタッチし満面の笑みを浮かべる。ここにキングの涙ぐましい努力の片鱗が見える。
他にも本作では、様々な友情、愛情が戦闘の中で交差し、これが強力な技とシンクロする。別に、原作を知らなくても大丈夫だ。ヨーロッパのサッカーが、メッシぐらいしか知らなくても面白いように、超人たちのパワープレイと連携による神業に燃えること間違いなし!スポーツ観戦感覚で観に行ける作品でした。
おまけ:もう一つの『七つの大罪』
Filmarksで《七つの大罪》と検索したら全く違う雰囲気の作品が出てきた。1952年にフランスで製作されたオムニバス映画だ。こちらの『七つの大罪』ではなんと《嫉妬》のエピソードを『ドイツ零年』の巨匠ロベルト・ロッセリーニが手がけているのだ。画家の女が、嫉妬によって八つ当たりしまくる話だそうです。ちょっと観たくなりましたw
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