【キューバ映画特集】『ルシア』第一部は神、第一部は、、、

ルシア(1968)
Lucia(1968)

監督:ウンベルト・ソラス
出演:ラケル・レブエルタ、
エスリンダ・ヌニェス、
アデラ・レグラetc

評価:40点

先日、「キューバに行くぜ!」と映画仲間に語ったら、「こんなキューバ映画を知ってるかい?」と貸してくれた。それが『ルシア』だ。キューバ映画初心者な為、知らなかったが、どうやらキューバ史を160分で描いた超大作のようだ。これは期待できるぞ!とワクワクして観た…

『ルシア』あらすじ

第一話(1895年):キューバ独立戦争下、婚期を逃したブルジョワの女ルシアは男に一目惚れされたことからシンデレラのごとく有頂天に。しかし、その男には女がいたのだった…

第二話(1932年):マチャード独裁政権打倒革命時、革命の騒乱から疎開したルシアと母。そんなある日、革命に参加している男と出会い、ルシアは惹きこまれて行く…

第三話(196…):キューバ革命後の世界。トマスと結婚したルシアだったが、トマスは束縛男だった。ルシアは家に軟禁される。そんな中、若い男がやってきて、ルシアにトマスと別れるよう入れ知恵を働く…

第一部だけがよかった…

キューバ史を3つのポイントで描いたオムニバス映画だ。全て、ルシアという女性の立場から描かれている。時間も160分と超大作だ。

うーむ。この手の話は何年か前にクロアチア映画『灼熱

』で衝撃を受けていただけに、構成の下手さが目立つ。

第一部で、激しい戦争描写、キューバ創世記の激動を《狂女》にメタファーとして背負わせる描写こそ、1960年代後半の抑圧、波乱、革命の時代ならではの力を感じたのだが、第二部、第三部でトーンダウン。あれだけキレッキレのショットも希薄となり、この断絶によってメッセージ性や軸がぶれてしまっている。オムニバス映画としては致命的な、「1本で十分ですよ」感が否めない作品だった。

ただ、それでも第一部は、まるでアンジェイ・ズラウスキーの『シルバー・グローブ

』ような観客の魂まで奪う魅力に溢れていた。キューバ史を勉強しないとわかりにくい部分はあれど、第一部、第一部だけは必見だ!

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