ファントマの偽判事(1914)
Le Faux Magistrat(1914)
監督:ルイ・フイヤード
出演:ルネ・ナヴァール、ジョルジュ・メルシオール、
ローラン・モルレアスetc
評価:80点
ゴーモン特集『ファントマ』シリーズ5作目最終話評です。
『ファントマの偽判事』あらすじ
シリーズ最終話。ファントマはベルギーに収監されていた。復讐の鬼と化しているジューヴ警部はフランスにファントマを引き渡してくれないベルギーに怒りを感じ、なんということか、彼はファントマの脱獄を手伝い、ベルギーの牢獄に代わりに入ろうという計画を立てるのだ!かくして、極秘ミッションが始まった。バカすぎて、会場大爆笑
最終話とはいっても、『ファントマ』シリーズは30話以上あるので、ゴーモンとフイヤードがもっとやる気あれば007シリーズ並みの連作を重ねていたことでしょう。でも100年後の人間としてはありがたい。今回で見納めだ。そんな、最終話は、頭がおかしい。ついにジューヴ警部が壊れますw折角、めでたくベルギーの牢獄にファントマが収監されたというのに、彼は「俺、ファントマの脱獄手伝う。ファントマが脱獄した先で、ファンドールくん、君が彼を捕まえてくれ!」というのだ。どうやら、警部はファントマになりすまし、彼と入れ替わろうとしているのだ。おいおいおい、幾ら何でもそれは国家間の問題になりそうだぞ。やめたほうがいいぞ!と思う観客をよそに、ミッションが始まるのだ。
珍しく動きのあるカメラ
『ファントマ』シリーズ、連続してみるとルイ・フイヤードが飛躍的に撮影技術を向上させているのがわかる。100年前のカメラは、巨大化つ、移動も難しかったので、余程のことがない限りカメラは動かない。演劇の延長のごとく役者は固定されたカメラの前で演じる。それだけに、美術には最新の注意が払われ、まるで絵画のように完璧に構図を決めた状態で撮影されていた。本作も1話目こそ、全編絵画チックに描かれていた。
しかし、5話目にもなると、《動き》が強調されていく。列車の動きもそうだが、なんといっても鐘とハシゴを使ったアクションシーンで素晴らしい《動き》を魅せてくれた。教会の鐘にアイテムを仕込んだとのことで、一人が紐を引っ張り鐘を引き寄せ、もう一人がハシゴで上がっていく。観るからにヒヤヒヤする光景。まず、その全景を魅せる。そしてハシゴを登る男をカメラは追う。まるでSASUKEのFINAL STAGE綱登りを観ているかのような躍動感に燃えた。また、今となっては「スマホの画面表示」で一般的に使われるようになった縦長画面での演出は既に100年前に開発されていたことに驚かされた。
社会の恐怖はまだまだつづく!FIN
本作は、続編も企画されていたのか、案の定ファントマは捕まらず終わる。しかし、今まで散々びっくりエンディングを魅せられてきた観客もこのエンディングには涙が出るぐらい爆笑し、開いた口が塞がらなかった。どう考えてもチェックメイト。完全に倒したと思いきや、まさかの手で逆転優勝。先日の藤井七段の逆転負けを彷彿させるようなどんでん返しに驚かされた。
ってわけで
社会の恐怖はまだまだつづく!FIN
ブンブンの『ファントマ』フルマラソンは幕を閉じたのでした。
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