『3D彼女』英勉、キモオタクまでもサイコーのコメディエンヌに…

3D彼女 リアルガール(2018)

監督:英勉
出演:中条あやみ、佐野勇斗、清水尋也、
上白石萌歌、竹内力etc

評価:85点

TOHOシネマズフリーパス最後の作品は『3D彼女』にしました。前評判も良いようだし、タイトルに惹かれたからだ。そして、エンドロールまで知らなかったのだが、なんと青春キラキラ映画の鬼才英勉作品でした。どうりで凄いわけだ!今日は『3D彼女』の魅力について語っていく。

『3D彼女 リアルガール』あらすじ

オタク男子・筒井光は3次元のコミュニケーションを拒絶した。強固なATフィールドに身を包み、猫耳男子・伊東悠人を唯一の虚構と現実の橋渡し役として暮らしていた。まさかATフィールドが、それも美少女に破られる日が来るとは誰も予想だにしていなかった…

英勉の徹底したオタク/サブカル分析が熱い!

高校デビューに失敗し、陰日向にいるスクールカースト最下位にいるオタク(佐野勇斗)。かれは3次元を棄て、2次元に居場所を求めていた。硬い硬いATフィールドで身を守る彼を、中条あやみ扮する美少女・五十嵐色葉 が破壊し、「私のカレシになりなさい!」と言ってくる。「私の奴隷になりなさい」の間違いでは?と思いつつ、渋々付き合うことにする、、、
本作はかつて大根仁が『モテキ』できていたサブカルとエンタメの超融合を魅せてくれる。それでもって、『モテキ』最大の欠点である不細工なキャラクター配置を改善させた。

まず、秀逸なのは、徹底的にコミュ症オタクの生態系を分析しているところ。何故、彼は2次元に逃避するのか?が筒井光が心の友にするアニメキャラの残像との対話で明らかにされる。3次元はコントロールができない、面倒臭い、どうせ傷つくだけだ。彼の独り相撲が赤裸々に現実社会とのコミットの大変さを物語る。映画オタクのブンブン、中高時代陰日向者だったブンブンにとって共感しかない。いかにもパリピでウェイウェイ系にしか見えない英勉からここまでリアルなオタクの心理が語られるとは、正直驚きだ。

また、オタクは何故早口なのか?というのも本作を観るとよく分かる。オタクは知識が豊富だ。しかし、コミュニケーションは膨大な体力を使う。会話を早く終わらせたい気持ちと、数少ない会話の機会にできるだけ多くの事を盛り込もうとする為早口になってしまうのだ。これも納得がいきます。説得力があります。

そしてオタクに女子をぶつけたらどうなるかを緻密に描く。それでもって、不器用、白馬の王子様度-5億%の位置から地道に成長し、最後にはこのコミュ症オタクがサイコーにカッコイイイケメン!白馬の王子様しか見えなくなる後光を帯びた存在へと導くのだ。

しきりに筒井の分身であるアニメのキャラクターが語りかける。「2次元はリセットがきくよ」「3次元は面倒なだけだよ」と。これは当然、オタクの心の声だ。逃げたくなる誘惑が包む中、如何にリアルラブの道へ進んでいくか。涙ぐましい苦悩に、世界は違うが映画オタクの私は泣けてきた。

そして、英勉はバツグンのコメディセンスで、笑いに包む。オタクに取ってデートは、ミッション。そのぎこちなさを魅力的に描き、一つ一つのギャグが本気で腹筋を崩壊させにかかる。また、恋の三角関係?いやいや、もっとハードに行こうぜ!と複雑怪奇な恋愛スパゲティを仕掛ける。そこには緊迫感がある。しかも、こんなギャグだらけの空間に、『ちはやふる』風の傑作館漂う音楽を仕掛けてくる。そう音楽担当は『ちはやふる』の横山克だった。

英勉監督は、やはり今最強のキラキラ青春映画監督だ。彼は『ちはやふる 結び

』の意識高い後輩役で注目された、佐野勇斗を『ヒロイン失格』の桐谷美玲や『未成年だけどコドモじゃない』の平祐奈級のコメディエンヌ仕立て上げた(男なのに!)。ついでにVシネマの帝王・竹内力を最強の爆笑増強剤として輝かせた。ひょっとすると『魔法少女 俺』を傑作実写映画にできるのは福田雄一でも月川翔でもなく、英勉なのかもしれません。

ブンブン大満足でした。

P.S.3D上映はなかったよw

コード・ブルー

』の件もあるので『3D彼女リアルガール3D上映』や『3D彼女リアルガールMX4D上映』があるのではと期待したのですが、ありませんでした…

↑主題歌は西野カナ『Bedtime Story』。個人的に『トリセツ』の方が映画に合っている気がした。

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