【ネタバレなし】『カメラを止めるな!』有給を使ってでも、地を這ってでも観て欲しい7つの理由

有給を使ってでも、地を這ってでも観て欲しい7つの理由

本作は、TwitterやFilmarksの感想を見て御察しの通り、何言ってもネタバレになるような作品だ。ブンブンも珍しく、あらすじ欄には予告編も詳しい概要も載せることを諦めた。オススメしたい、でも何も言えないという非常に文章化し辛い作品だ。しかし、ここは映画ブロガーの腕の見せ所。詳しいディティールはネタバレ編で語るとして、ここでは、有給を使ってでも、地を這ってでも観て欲しい7つの理由を書くこととする。何故、清く美しい作品ばかりベストテンに入れているブンブンがゾンビ映画なんかを2位にしているのか?無名監督、役者も無名、それでもって一見通俗に見えるゾンビ映画が何故傑作なのか?少しでも気になったら、是非劇場へGO!悪いことは言いませんよー

1.ダメダメゾンビ映画が37分で傑作ゾンビ映画に

町山智浩がラジオで語っていた通り、37分ワンカットのこのゾンビ映画、最初はかなり厳しいものがある。

「こんなのに皆、満点出しているの?」と目を疑うような光景が全力で押し寄せて来るのだ。

まず、役者の演技が皆、、、大根なのだ。《映画》と《演劇》を履き違えているような過剰な演技。それもわざとらしい。おいおいおい、となる訳ですよ。

次に、カメラワーク。いくらワンカットの臨場感を出そうとしているとはいえ、酔いそうなぐらいにカメラワークが乱れている。しかもピントが全然合っていないのだ。

長回しワンカット映画と言えば、ロシアの巨匠アレクサンドル・ソクーロフの『エルミタージュ幻想』や2時間半ドイツの街を疾走しまくるギャング映画『ヴィクトリア』といった傑作が既にあるだけに、頭を抱える。「ワーストになってしまうかも…」と不安すら抱く。前半10分でセネガルに5点入れられてしまったような重い気持ちになります。上田慎一郎監督よ、いくら『ラ・ラ・ランド』や『バードマン』のような編集技術で長回しに見せる技法を使いたくないからといってこれは明らかにおそ松さんでしょう…いくら、長回しフェチでこの手の映画に甘いブンブンも擁護できかねると言いたくなる。

極め付けが、明らかにミスショットが多いのだ。ギャグは悉くスベり、明らかにそこにいては行けない人が映っているのだ。もう…ダメだ、Game Overだとブンブンは思った。

しかーーーーーーーーーーーーし!

後半15分これが一気に逆転劇へと発展する。ダメダメ演出が、妙なリズム感を生み、またスベった筈のギャグが伏線として回収されていくののだ。また、前半あまりに目も当てられない秋山ゆずきの演技が、たった37分の間に驚くべき名女優へと進化する姿にびっくりするのだ。そして、クライマックスには、「なんだこの怪作は!ヘタウマの極みではないか!」「実際のワンカットで起きたミスが化学反応を起こして、他の監督が絶対真似できないものが出来上がってしまっているぞ!」と興奮し、呆然とした。日本がセネガルに10本シュートを決めたのだ!

監督、半端ないって そんなんできひんやん、普通。

2.真の面白さは《37分ワンカット》…ではなかった

ここで、あれっ?と思うかもしれない。本作の上映時間は96分だ。さっき、37分のゾンビ映画とブンブンは言っていたけれども、残り59分どこ行っちゃったの?と思うでしょう。

実は、本作の面白いところは《37分ワンカット》…ではなかったのだ!これは観た人のお楽しみ。この残り59分を観た時、観客は大迫勇也のプレイを見た中西隆裕選手のようにこう叫ぶだろう。

監督半端ないってもー
アイツ半端ないって
ダメダメゾンビ37分ワンカットゾンビ映画にめっちゃトラップ仕掛けているんだもん
そんなんできひんやん普通、そんなんできる?言っといてや、できるんやったら!

3.失われた三谷幸喜を求めて…

そして、観終わった後、上田監督がゾンビ映画と三谷幸喜のマリアージュをやろうとしていたことに驚愕するのだ。

三谷幸喜と言えば、かつて『ラヂオの時間』、『12人の優しい日本人』、『みんなのいえ』で、絶妙な個性派キャラクターのアンサンブルを演出し,
日本の映画ファンを熱狂させた名監督&脚本家だ。
しかし最近の彼は『ステキな金縛り』、『清須会議』、『ギャラクシー街道』と立て続けに多くの映画ファンをがっかりする地雷作を爆誕させており、映画ファンはかつての三谷幸喜の残像を追い求めている。

本作を観ると、監督は失われた三谷幸喜を求めて、うっかり彼を超えてしまったのだ!

映画好きほど騙され、映画をあまり観ない人ほどジェットコースターのように目まぐるしく変わる展開に息を飲む。どちらにせよ、驚きは隠せないであろう。

→NEXT:4~7実はゾンビ映画史を変えた一本!?

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