アデュー・フィリピーヌ(1962)
Adieu Philippine(1962)
監督:ジャック・ロジエ
出演:ジャン=クロード・エミニ、
ステファニア・サバティニ、
イヴリーヌ・セリetc
評価:75点
『アデュー・フィリピーヌ』あらすじ
兵役を2ヶ月後に控えた男ミシェルは、テレビ局でカメラマンとして働いている。そんな彼は局の前にいた女二人をナンパし、一緒にコルシカへ行く…ビザールなバカンス映画
とてつもなくビザールで素晴らしいバカンス映画でした。
兵役間近の青年が主人公。テレビ局のカメラマンとして働いている。彼のキャラクターなりを冒頭タイトルロールでじっくり描くのだが、これが面白い。カメラの移動、プロデューサーの罵声、カメラの先に映るパフォーマーの音がジャズのような掛け合いで絡み、独特な、まるでジャズのようなリズム感を生む。ナンジャコリャ!
そして、主人公はやる気がないテキトー人間だということが、このジャズの坩堝に垣間見える。そして、男はテレビ局の外の出待ち女にナンパする。「俺っち、局のもんだが、中みねぇか?」そのまま4人ゲットだぜ!となる予定が結局ゲットできたのは2人。本作のヒロインだった。
男一人、女二人という黄金比。
どういうラブ・アフェアが行われるのだろう?これが、実にシュールな展開を迎える。
そもそも、もし映画学校でこんなのを作ったら、教授からボロクソに言われるだろう。「会話になっとらん」「カット切りすぎ」「結が長すぎ」と。
もはや、ジャック・ロジエは映画作りなんか興味がないのでは?と不安になる程暴力的投げやりな演出で事が運ぶのだ。
会話は全て言葉のドッヂボール。ナンパ男は、女二人と飛行場に行く。女が手相を見るくだりで、「運命線ある?」と疑問文を投げつけた次の瞬間、何故かカフェのシーンになり、男が実家に帰るエピソードが始まるのだ。輩と車に乗って、爆走する、何故かバック走行をする。輩は歌うのだが、唐突に音が消え、そしてまた歌が始まる。アヴァンギャルドだ。この手のミュージカルシーンはさらに続く。
また、女二人が男を巡って愛のバトルが勃発するのもラスト20分くらいと遅く、しかも突如収束する。物語が終始爆走怒りのデスロードなのだ。
』だった!二人の女の子の立ち振る舞いから、ジェットコースターのような物語展開まで『ひなぎく』だった。これは嫌いになるはずがない。観て大正解でした。
この特集はコンプリートしたいぞ!!
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