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『犬ヶ島』日本が今最も映画化すべき内容をW.アンダーソンが愛もってお届け!

『犬ヶ島』日本が今最も映画化すべき内容をW.アンダーソンが愛もってお届け!

犬ヶ島(2018)
Isle of Dogs(2018)


監督:ウェス・アンダーソン
出演:コーユー・ランキン、リーブ・シュレイバー、
エドワード・ノートン、ビル・マーレイ、
ジェフ・ゴールドブラム、スカーレット・ヨハンソン、
ティルダ・スウィントン、野村訓市、オノ・ヨーコ、
グレタ・ガーウィグ、村上虹郎、フランシス・マクドーマンド、
野田洋次郎、渡辺謙、夏木マリ、ハーベイ・カイテル、松田龍平、
松田翔太、山田孝之、池田エライザetc
※凄いぞこの豪華キャスト!!

評価:100点

ウェス・アンダーソン、この前までクラウドファンディングでで新作映画の出資を募っていたのに、爆速で完成させ、いつの間にかベルリン国際映画祭で監督賞を獲っていた!

そんな最新作『犬ヶ島』を観てきた。クラウドファンディングに出資しようか迷っていたのだが、あまり惹かれずスルーしていた。予告編を観ても、絵のタッチが好みではないので、「まあ、ベストテンには入れないだろうな」と思っていた。

ところがどっこい!鑑賞後、くっ、、、ク、、、クラウドファンディングに参加すれば良かったと強い後悔を抱いた。また、このクセが強すぎる世界観に心酔していました。

『犬ヶ島』あらすじ

犬インフルエンザが蔓延する近未来日本・メガ崎市。犬嫌いの小林市長は、犬をゴミ島《犬ヶ島》に幽閉していた。かつては、モデル犬、飼い犬、ボディーガード犬だった者も簡単に《犬ヶ島》へ幽閉されてしまった。そんなある日、《犬ヶ島》に一人の少年が飛行機で上陸する。小林アタリという名の彼は、愛犬スポッツを探しにやってきていたのだった…

W.アンダーソン、アニメの玄界灘に到達

本作は、いつものウェス・アンダーソン映画ではない。いつものウェス・アンダーソン映画は3行あってもストーリーを説明するのが困難だ。ある意味複雑怪奇な映画を創る。しかし、『犬ヶ島』はたった4文字であらすじが説明できるほどシンプルだ。

《犬を探す》

ただ、この四文字の下に途轍もなくハードコアなドラマ、メッセージが込められていた。

私は滅多に《〜すべき》という言葉を使わない。私を少しでも知っている方なら、私が異分子であることは分かるだろう。そんな異分子の《〜すべき》は説得力がないし、不快感を与えかねない。だから使わない、使いたくない表現だ。

しかし、今回はこの表現を使わせてください!

本作は、日本映画界が撮るべき作品だった。

SMAPの解散、モリカケ問題を始めとする汚職と文書改竄問題、山口メンバーのあの事件、そして今話題の日大ラグビータックル事件。どれも、マスコミや国により情報が操作され民衆を混乱させている問題だ。

ハリウッドなら、喉から手が出るほど映画化したいネタ。映画化することで、真相を民衆に伝える《メディアとしての機能》を果たせる。しかし、今の日本映画界は全くもってノータッチ。辛うじて『劇場版 名探偵コナン ゼロの執行人』が警鐘をならそうとしているだけだ。

ウェス・アンダーソンは黒澤明の『悪い奴ほどよく眠る』をベースに、今の日本が抱える権力の暴走を見事に映画化した。

しかも、『ファンタスティック Mr.FOX』の比ではないほどストップモーションアニメのレベルを上げて観客に問題を突きつけてきた。この《アニメのレベル》というのは、チェコアニメやNHKのストップモーションアニメ、さらにはライカ社を軽く超え、ストップモーションアニメの玄界灘に到達してしまっているのだ!

こればかりは、体験した人のみが知る新世界、私の力では言語化できないのでアニメ技法については割愛する。

私は物語について語りたい。

疫病により、犬はゴミの島に左遷される世界。そこに、一人の少年がやってきて棄てられた愛犬を探すという内容。

ゴミの島こと犬ヶ島にいる犬は、人々に愛された犬ばかり。それが、権力による指パッチンでいとも簡単に流刑となる。

メガ崎市の市長は、犬嫌いな為、少しでも犬との共存の道があると、それを文書改竄、データ操作、妨害、暗殺でもって根絶やしにする。しかも、その真実は全く市民の元に辿り着かないのだ。ここで、ふと気づかされる。これは《桃太郎》でもあったのだと。しかし、鬼ヶ島の鬼はより凶悪なのは本土の住人だったということに。鬼は、権力者が住民を味方につけるため、共通的としてデッチあげた存在だということに。

こんな凄惨で、今の日本そのものを、ユーモアの塊、遊び心しかない世界で語られている本作を観て、涙が出てきた、、、

この手の日本を外国人が描いた作品は、SUSHI・SAMURAI・NINJAと表面的な日本を描きがちだ。しかし、ウェス・アンダーソンの場合、あえて外しているのがよく分かる。ルー大柴のような、唐突な英単語セリフ。明らかに日本酒のラベルにも関わらず、凝視すると《北斎ビール》と書いてあるコアさ。

引用も、ストーリーの骨格は黒澤明の『悪い奴ほどよく眠る』だ。彼のフィルモグラフィー史上マイナーな作品から引用している。また、研究所の博士は『ゴジラ』の芹沢博士だったり、小林市長は三船敏郎を似せている。分かりやすいところで言えば、劇中何度もかかるテーマ曲が『七人の侍』のテーマだったりする。
(さりげなく、小林アタリの島潜入描写が『ニューヨーク1997』からの引用だったりと洋画からの引用も健在)

ウェス・アンダーソンは毎回コアなサンプリングを行うが、今回は輪をかけて鋭い。しかも日本映画愛に満ち溢れている。

ウェス・アンダーソン、貴方は誰よりも日本を愛し、日本を理解している。こんな映画作ってくれてありがとう。クラウドファンディングに参加しなくてすまない、、、と鑑賞後、ブンブンの心は燃え上がった。

とにかく、今日本人全員に観てほしい。なんなら、道徳の授業を使ってみんなで観よう!と訴えたい作品でした。

P.S.これから本作を観る方へ、最前列で観てくれ!

『犬ヶ島』は『レディ・プレイヤー1』の比じゃない情報量です。しかも、視力検査の一番下の列ぐらいの文字の小ささで重要なことが書かれていたりするので、最前列で観ること強くオススメします。

マサイ族でない限り、重要なものを見逃す可能性があります。

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