夜の浜辺でひとり(2017)
On the Beach at Night Alone(2017)
監督:ホン・サンス
出演:キム・ミニ、ソ・ヨンファ、
クォン・ヘヒョetc
評価:75点
カイエ・デュ・シネマが心酔する監督ホン・サンス。彼は不倫やセクハラに五月蝿く潔癖症な人だらけのご時世に白昼堂々不倫をし、それを映画化するクレイジー監督だ。何故か抜群のステルス機能で、キム・ギドクが叩かれている横で悠々と映画を作り続けている。
そのうちの1本『夜の浜辺でひとり』を観てみた。これはキム・ミニの迫真の演技が評価され、ベルリンで女優賞を獲った作品だ。
『夜の浜辺でひとり』あらすじ
スキャンダルから逃げるようにハンブルクにやってきた女優。彼女はカレシがハンブルクに来るのを待っていた…時がたち、韓国へ戻ってきた彼女は女優復帰を考えていた。ある日旧友たちと会って恋愛観と向き合うこととなる…
ベルリン国際映画祭女優賞も納得!キム・ミニ狂気の演技
本作で主演を務めたキム・ミニはベルリン国際映画祭で女優賞を受賞したのだが、それも納得、狂ったように面白く迫真の演技であった。不倫スキャンダルにより、逃げるようにハンブルクに去った女優はかつての恋人が自分を追ってこないかと待ち望んでいる。一応《留学》という体裁をとっているのだが、ホストファミリーとの会話は続かず、一緒に行動するおばちゃんに愚痴をこぼす。
そして、思わぬ形で第1章が終わる。突然、場面はカンヌン。ほとぼりが冷め、カンヌンへ戻ってきた彼女は女優復帰を目指している。旧友とも会い、飲み食いする。そこで、恋愛観についてディスカッションする。この時のキム・ミニの名にし出すか分からない表情と行動はクレイジーとしか言いようがない。
恋愛こじらせ女子の面倒臭さを全力全開で演じきる。非常に痛くて観ていられないのだが、どこか滑稽で笑えて来る。ホン・サンスは真顔でチクチクと刺してくる人間関係の軋轢を描くのだが、必ずユーモアに包んで刺してくる。これが好きだ。ホン・サンス映画好きとしては堪らなかった。
それにしても、昨年、3本もキム・ミニ主演に作品を作り、どれも不倫を扱っているってどんだけドSなんだホン・サンスは!そしてどんだけドMなんだキム・ミニは?
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