【速報】第68回ベルリン国際映画祭受賞結果 ウェス・アンダーソン2作品連続受賞

第68回ベルリン国際映画祭受賞結果

金熊賞:Touch Me Not

監督:Adina Pintilie

ルーマニアの女性監督Adina Pintilieの作品が受賞。Adina Pintilieって誰?と思う人も多いだろう。それもその筈。彼女、本作が初長編映画なのだ。

IMDbによると、短編ドキュメンタリー2本(『Nu te supara, dar…』、『Oxigen』)と短編劇映画『Balastiera #186』の計3本しか撮っておらず、受賞歴も『Nu te supara, dar…』がライプツィヒ・ドキュメンタリー映画祭で最高賞を受賞した程度。故に今回は完全にダークホースの受賞となった。

さて肝心な内容はというと、映画監督俳優との間に生じる親密さをドラマとドキュメンタリーの境界を曖昧にして描いた作品。あらすじを観ると、非常に厄介な実験映画のようだ。ルーマニアといえば、クリスチアン・ムンジウやクリスチアン・プイウ、カリン・ピーター・ネッツァーといった名匠がいるが、今回の映画祭で新しい巨匠が生まれたと言えよう。

日本公開できるのか…(汗

審査員グランプリ:Twarz(MUG)

監督:マウゴシュカ・シュモフスカ

『君はひとりじゃない』でベルリン国際映画祭監督賞を受賞したマウゴシュカ・シュモフスカ最新作。ヘビーメタルとペットの犬を愛する青年が事故に遭い、顔面手術を受けるという物語。金熊賞獲ってもおかしくないような作品だが、今回残念ながら審査員グランプリ止まりとなった。

アルフレッド・バウアー賞:
Las herederas (The Heiresses)

監督:Marcelo Martinessi

パラグアイ、ウルグアイ映画。外向的なチキータと内向的なチェラのカップルが貧乏になり、二人の思い出の品を手放すことになる。その上、チキータが借金で刑務所に送られて…という話。これは岩波ホールあたりで上映してほしいと感じた。

監督賞:ウェス・アンダーソン
(犬ヶ島)

『グランド・ブダペスト・ホテル』でベルリン国際映画祭審査員グランプリを受賞したウェス・アンダーソンがまたしても快挙!クラウドファンディングで資金を調達して作った、日本を舞台にしたストップモーションアニメがなんと監督賞を受賞しました。「犬インフルエンザ」の流行で犬ヶ島に隔離された愛犬を探す少年と、犬ヶ島の犬たちの冒険を描いた作品。日本公開は5月。

男優賞:Anthony Bajon
(La prière)

監督:セドリック・カーン

おとなの恋の測り方

』でジャン・デュジャルダン扮する低身長の紳士アレクサンドルのライバルを演じたセドリック・カーンが監督を務めた『La prière(The Prayer)』の主演Anthony Bajonが受賞。山に篭って麻薬中毒から脱出しようとする青年を演じている。

女優賞:
Ana Brun(Las herederas)

監督:Marcelo Martinessi

アルフレッド・バウアー賞受賞のパラグアイ、ウルグアイ映画に出演のAna Brunが受賞。映画初主演
での受賞。

脚本賞:Museo (Museum)

監督:Alonso Ruizpalacios

メキシコシティの国立人類学博物館に侵入しパカル王の葬儀のマスクを盗むケイパーものが受賞。

芸術貢献賞:Dovlatov

監督:アレクセイ・ゲルマンJr.

鬼才アレクセイ・ゲルマンJr.新作が受賞。ソ連の小説家セルゲイ・ドヴラートフの最期の日々を描いた作品。

国際批評家連盟賞

コンペティション:Las herederas (The Heiresses)

パノラマ:リバーズ・エッジ

フォーラム:An Elephant Sitting Still

行定勲が『パレード』に引き続き、国際批評家連盟賞を受賞。『パレード』も『リバーズ・エッジ

』も日本では然程評価されていないだけに意外だ。やはり行定監督は黒沢清以上に海外向けの監督なんだなー

最後に…

今年のベルリン国際映画祭は、全力で無名監督を発掘する回でした。なので、ラヴ・ディアスもガス・ヴァン・サントも無冠に終わりました。それにしても非常に評判の高かった『犬ヶ島』と『Las herederas (The Heiresses)』に興味が湧いてきたなー。後者は果たして日本公開するのだろうか…

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