繻子の靴(1985)
O Sapato de Cetim(1985)
監督:マノエル・ド・オリヴェイラ
出演:ルイス・ミゲル・シントラ、
パトリシア・バージークetc
評価:40点
映画オタクが行き過ぎるととある問題にぶち当たる。それは日本DVD化作品だ。これだけなら、アメリカ、フランスからDVDを「輸入」するという手がある。
しかし、中には欧米でDVD化されていない、あるいは欧米でもプレミアム化され幻の映画となっている場合がある。
最悪の場合、ラヴ・ディアスやアフリカ映画のように入手すらできない場合がある。
そういう時、やむ得ず映画ドロボウのパトランプ男に謝りながらナントカチューブを使う。
さて、ブンブンがなぜそんな話をしたか?それはオリヴェイラ監督の「繻子の靴(しゅすのくつ)」ナントカチューブで観たからだ。
「繻子の靴」とは、昨年日本でも話題になったポール・クローデルの8時間を超える戯曲だ。
オリヴェイラ監督を語る上で、演劇的要素は外せない。そうなった際に「繻子の靴」を観ずしてオリヴェイラを語れないという方程式が成り立ってしまう。
ナントカチューブにはフランス語音声、ポルトガル語字幕でアップされていた。つくづくフランス語を習っていて良かったと思い鑑賞した。
果たして…
「繻子の靴」あらすじ
フランスの劇作家ポール・クローデルが滞日中に書いた8時間を超える戯曲の映画化。大航海時代、人妻に恋してしまった騎士の禁断の恋が紡がれる…オリヴェイラが手がけるライブビューイング
本作は、お客さんがホールに入るところから始まり、そのままライブビューイングのようにオリヴェイラ版「繻子の靴」が演出されるというもの。
オリヴェイラ映画ならではの、硬派なようで突如挿入されるギャグに笑える。徹底して絵画のように人を魅せるオリヴェイラの手腕に惚れ惚れとする。
ただ、同時に「カメラは演劇を記録するための視聴覚媒体にすぎない」という厭世的な精神も見え隠れした。
オリヴェイラ映画としては、驚きが少なく、ただのライブビューイング映画にしか見えない。どうもブンブンは演劇のライブビューイング映画が非常に苦手で退屈してしまう。確かにフランス語音声で7時間も観たのだからフルマラソン級に疲れたのは病む得ない。それでも、映画としての面白さが本作になかったのは痛い。ただし本作が後に凄い化学反応を起こしたと思うと観て正解でした。
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