ブロンド少女は過激に美しく(2009)
原題:SINGULARIDADES DE UMA RAPARIGA LOURA
英題:ECCENTRICITIES OF A BLONDE-HAIRED GIRL
監督:マノエル・ド・オリヴェイラ
出演:リカルド・トレパ、カタリナ・ヴァレンシュタインetc
評価:85点
ブンブンは美しい風景、情景に包まれている映画が好きです。そんなブンブンを魅了する監督の一人にマノエル・ド・オリヴェイラがいます。ポルトガル出身のこの監督は106歳まで生きた映画監督としても有名。そんな彼の撮る作品は、まるでポートワインのように甘く深みのある作品が多い。それも晩年になればなるほど、熟成されて味わい深いものとなる。
さて、今回TSUTAYAでブンブンが借りてきたのは「ブロンド少女は過激に美しく」。まるで北欧官能映画っぽいタイトルだが、実にラグジュアリーで美味な食後酒でありました。
「ブロンド少女は過激に美しく」あらすじ
エッサ・デ・ケイロスの短編小説「ある金髪女の奇行」の映画化。列車の中。ある青年は哀しみにくれていた。行き場のない心を、どうにかしようと、隣に座る熟女に語りかける。何故、男は哀しむのか、何故辛いのか。1時間後あなたは、可哀相な男の結末に驚くことだろう…美しすぎる「裏窓」
「アンジェリカの微笑み」もそうだが、本作はまるで映画デビュー作か!と思うほどにエモーショナルな恋愛を描いている。いや恋愛映画と言うよりも、素晴らしき童貞映画と言えよう。まず、森鴎外「舞姫」よろしく、祭りの終わり、哀しみに暮れる男の独白から本作は始まる。事のきっかけは、ずばり「窓」。男が何気なく、窓を眺めていると、向かいの家から丸い扇子を持った美しき女性が現れる。いきなり男の心はときめきメモリアル!「もう一度あの子を見たい!」と毎日のように窓を覗く。しかし、向かいの窓はカーテンを閉ざしたまま。なかなか女の子を魅せてはくれない。そんな焦れったい男の気持ちを様々な角度で「窓」を映すことにより効果的に演出されている。というよりか、100歳にして性欲ビンビンじゃねぇかと思うほどのフェティッシュなカメラワーク、「美」を追い求めている感じが素敵です。
そして、一つ、また一つと偶然が重なり、男は段々精神的距離も好きな女に近づいていく。そう男の目には「女の子」しか映っていない。このイケイケドンドン感、若き盛り。ブンブンも似たような経験をしたことがあるだけに、シンパシーを抱く。ダークで黄金色の空間に広がる甘い恋に心が吸い込まれ、そして「アンジェリカの微笑み」同様「えええ!!」という衝撃的な終わり方で観客を突き放す。
P.S.どいらじ「くらえ!映画愛」に選ばれました
Youtubeラジオ・どいらじの「くらえ!映画愛」のコーナーに投稿したところ、採用されました。後日、どいらじメンバーが本作を観た感想を放送にて語るとのことです。オリヴェイラ監督作品関連記事
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