カトマンズの男(1965)
LES TRIBULATIONS D’UN CHINOIS EN CHINE(1965)
監督:フィリップ・ド・ブロカ
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、
ウルスラ・アンドレス、
ジャン・ロシュフォールetc
評価:80点
先日、推しシネバトルに出場して、「ブロンド少女は過激に美しく
」をプレゼン。見事優勝したチェ・ブンブンであったが、プレゼンターの中に後光が差すほどDOPEで素晴らしいプレゼンをされていた方がいました。その方が紹介していた作品は「カトマンズの男」。名前だけは聞いたことあったが、気が乗らず観ず嫌いしていた作品だ。しかし、語りを聴くとグイグイ惹き込まれました。ってことで早速楽天でDVDを取り寄せてみたぞ!
「カトマンズの男」あらすじ
「海底二万哩」「悪魔の発明
」「月世界旅行」と数々の名作を生み出し、映画化され続けた名作家ジューヌ・ヴェルヌの「必死の逃亡者」を大胆アレンジして映画化。大富豪のアルチュールは贅沢に飽きて、毎日退屈している。自殺しようにもなかなかできない。そこで香港にて、中国人の提案で、暗殺者に自分を殺して貰うことになる。しかし、ひょこんなことから入ったクラブでストリッパーのアレクサンドリーヌに一目惚れ。自分の暗殺を止めようと、中国人を探すが、彼はエベレストに行ってしまい…追いつ追われつの大冒険が始まった。
アクションスター・ベルモンドの柔軟性を観よ!
時は1960年代、世界では「007」が大流行。世界を股に軽やかに敵を倒していくスパイ冒険映画に、当時まだ海外旅行の格式が高かった一般人は夢中になった。それに目を付けたのは、フィリップ・ド・ブロカ。彼はヌーヴェルヴァーグ映画監督を裏から支えた男で、「美しきセルジュ」「大人は判ってくれない」の製作に携わり、後に戦争映画の傑作「まぼろしの市街戦」を撮った監督だ。
本作はそのプロジェクトの第二弾だ。主演は、「勝手にしやがれ」「いぬ」のジャン=ポール・ベルモンド。ヒロインは初代ボンドガールのウルスラ・アンドレスだ!
こう聞くと、007っぽい映画なのかな?パロディらしいから「オースティン・パワーズ」みたいな作品なのかなと思うかもしれない。
しかし、テイストは「タンタン(TIN TIN)」でした。タンタンと言えば、ベルギーの漫画家エルジェが放った大人気バンドデシネ。主人公タンタンがホワイト・フォックステリア犬のスノーウィやおとぼけ双子刑事デュポンとデュボンと共に世界を冒険するもの。ブンブンも幼少期に母親からよく読んで貰ったのだが、まさに「カトマンズの男」はタンタンだった。
特に本作のネパールの雪山での奮闘っぷりは「タンタンチベットをゆく(Tintin au Tibet)」をかなり意識した画面作りをしている。そして香港でのアクションや建物の構図は「青い蓮(Le Lotus bleu )」を思わせる。ある意味実写版タンタンである。
そんな「カトマンズの男」を盛り上げるのはジャン=ポール・ベルモンド。「勝手にしやがれ」のイメージが強いので、コメディを演じる様子が想像できないのだが、これが凄い、やたらと身体をぐにゃんぐにゃんさせながらアジアを疾走するベルモンド、女装に挑戦するベルモンド、飛行機から決死の飛び移りをするベルモンド。ボディダブルか?と思うところもあるが、実はノースタントで撮られています。故にとにかくカッコイイ!面白い。
それにウルスラ・アンドレスのちょっとむっちりしたセクシーボディが盛り上げる。こりゃ観て正解大満足でした。
吹き替えのテキトーさ半端ない
DVDにテレビ放送版の吹き替えがついていました。これがかなりテキトーで面白い。例えば、ウルスラさんが香港のダンスを観ながらノートを取るシーン。字幕では、ベルモンドが「えっつ言葉分かるの?」と訊いて「分かるわ」と言うのだが、吹き替えでは「さっぱり分からない」と言っているではないか!
意訳や日本ならではのユーモア、芸人の持ちネタを挿入するとSNSで大炎上するの今ではゼッタイにできない吹き替えっぷりに目から鱗でした。
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