「ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト」から観るスコセッシの成長

ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト(2008)
Shine a Light(2008)

監督:マーティン・スコセッシ
出演:ザ・ローリング・ストーンズ

評価:100点

ブンブンがライブ映画ベストテンを挙げると必ず上位にランクインする映画がある。それは「ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト」だ。この作品は、ブンブンが映画に嵌まった中学二年生の頃に、新宿武蔵野館で観てノックアウトされた代物。当時、全くザ・ローリング・ストーンズなんて知らなかった。知っている知識と言えば、ハッチポッチステーションでグッチ裕三がロ-リング・スッテンコロリンというパロディネームで「ジャンピンジャックフラッシュ」を「おもちゃのチャチャチャ」に替え歌していたことぐらいだ。だが、本作を観てミック・ジャガーの痺れるライブにノックアウト。サントラまで買い、すっかりファンになりました。そして2014年の東京ライブで生ストーンズを味わうぐらいまでブンブンをメロメロにさせた思い入れ深い作品。

先日49インチ4Kテレビ

を購入したので、「シャイン・ア・ライト」のブルーレイボックスを買いました。中にはTシャツや小冊子など入っており満足な豪華版であった。もう、この10年で4回ぐらいは観ているのだが、5回目ではどんな気づきがあるだろうか?

「シャイン・ア・ライト」概要

2006年にザ・ローリング・ストーンズが行ったビーコン・シアターでの慈善コンサートの模様を舞台裏も交えて収録した音楽ライブドキュメンタリー。

スコセッシvsストーンズ

今回改めてみると、マーティン・スコセッシとザ・ローリング・ストーンズの拘りによる対立が非常に興味深い作品に感じた。マーティン・スコセッシは映画監督として総てをコントロールしたがる。それこそ曲のセットリストや、曲毎の人の動きなどなど。なんたって、スコセッシは「ダンケルク」でクリストファー・ノーランが使ったような、IMAXフィルムを使って撮影しているのだ。つまり10分に1回ペースでドデカいフィルムを入れ替えなければならない。ましてや観客の邪魔をしないようなカメラワークをしなければならない。

しかし、ザ・ローリング・ストーンズに言わせると、「当日の動きなんか当日にならんとわからん!」。ミック・ジャガーたちは、観客とのコミュニケーションを大事にしているのだ。当日の雰囲気に合わせて動くから、カメラに動きを合わせるなんかしたくないのだ。

これを観ると、やはりスコセッシは映画監督なんだなと思う。ライブに行くと、よくクレーンでカメラは動いているが、観客の邪魔にならないように、そして自由に動き回る演者をしっかりと捉えようとする。カメラが演者を追うのだ。その逆はありえない。巨匠でもってしてでも、それが理解できていない。そして本作を撮ることでスコセッシが一歩成長したところに大きく感動した。

それにしても…

もう、本作が10年前の作品なんて信じられない。特にびっくりしたのは、観客がスマホをほとんど持っていないことだ。海外のライブ映画を観ると、自撮りする観客をよく見かける。本作では、デジカメだったり昔の折りたたみ式携帯電話だったりする。この10年で携帯電話事情は大きく変わったんだなと郷愁に浸るブンブンでした。

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