2016年ブンブン映画ベストテン(新作洋画編) 1位は「痛ましき謎への子守唄」

6.帰ってきたヒトラー(2015)

鑑賞環境:TOHOシネマズ シャンテ

大学1年生の時に、
ビブリオバトル用の本を探しに
書店に行ったらこの原作を見つけた。
あまりに抱腹絶倒な内容と背筋が
凍るエンディングに「こりゃ
映画化無理だな…」
と思ったら、なんとドイツで映画化
した!

しかも恐ろしいことに、
今年のイギリスEU離脱や
ドナルド・トランプ米大統領誕生を
予言したかのように
アップグレードした映画化で
度肝を抜かれた。

本作が恐ろしいのは、
一部ゲリラ撮影がされているので、
移民に関する人々の怒りが
一部本物だという点。
また、ドナルド・トランプが
ピエロ的存在からから大統領
になってしまった過程と
本作でヒトラーが再び
ドイツの頂点へと君臨する
過程があまりにも同じだということ。

この預言書、恐るべし…

7.メコン大作戦(2016)

鑑賞環境:東京国際映画祭

もはや中国・香港映画は日本は
とっくに下の下、ハリウッドですら
勝てない程凄まじいアクション映画を
生み出せるようになっていた。

実話を基に、
たった7日間でアベンジャーズも青ざめ、
マイケル・ベイの目玉も飛び出す
驚きの爆破、爆破、そしてチームワーク
のアクションを撮りあげてしまうのだ。

CGやドローン等の最新技術も
使うが、アクションは基本的に
ガチで行うアジアン・アクション
スタイルが観る者120分間
一秒たりとも退屈させない
ジェットコースタームービーへと
昇華させた。

これは早く日本公開してほしい。

8.アイ・イン・ザ・スカイ
世界一安全な戦場(2016)

鑑賞環境:TOHOシネマズ シャンテ

「未知への飛行」を継ぐ傑作戦争
会話劇ここに誕生。
マイケル・サンデルの講演でも
有名な「一を救い多を犠牲にするか」
「多を救い一を犠牲にするか」という
究極の選択を
英米合同軍事作戦で行うと
恐ろしいことになる。

パン売りの少女を見殺しにして
80人を救うか、それともという
選択を会議で決めるわけだが
これが非常に良く出来ている。

上官や大統領は自分の責任を
転嫁するために、決定を
他人に決めさせようと画策する、
そして二進も三進もいかない
状態で、観客が思う僅かな
甘えもつぶしに掛かる
きめ細かい演出に
終始手汗びっちょりでした。

少女よ!空気を読め!
パンを早く売りさばけ!

9.Ma Loute(2016)

鑑賞環境:
フィンエアー機内エンターテイメント

北欧旅行の帰りの飛行機で観たのだが
これがすこぶる良かった。
「プティ・カンカン」で
その年のカイエ・ドゥ・シネマ
ベスト1位を獲ったことに味を
しめたブルーノ・デュモンが
本格的にデヴィッド・リンチ
っぽいゲテモノファンタジーを
作った。

富める観光客と貧しい現地人の漁民
の軋轢をまるでシャルリー・エブドの
風刺画のように激しく
強調して観客を煽る。

これが上手い。
渡し船での差別シーンの
面白さ、富豪の食事シーン
やバカンスシーンの
猥雑でデカダンス且つ
高慢な様子が
上手くキマッていた。

アンスティチュフランセで
公開するかな?

10.ブルックリン(2015)

鑑賞環境:立川シネマ・ワン

国際文化学部生としてここまで
留学生の心の流れを捉えた作品を
無視することはできない。

本作が面白いのは、
経験しないと心情が分からない
「外国かぶれ」のメカニズムが
非常によく描けている作品だ。

よく留学帰りの人が、
特に女子がやたらと
良い発音で
カタカナ語を話し、
高慢に振る舞うのをみたことが
ないだろうか?
俗に言う「外国かぶれ」であり、
一般人にとってはむかつく
以外のなにものでもない。

しかし、本作を観ると
これが病む得ない
留学生の通過儀礼だと
いうことが分かる。

本作では
まず、今の現状に満足が
いかずに海外への憧れを
抱いてアイルランドから
アメリカへ移住をする。

移民として数々の困難に
ぶち当たりながらも
乗り越えていき、
いつの間にかアメリカが
大好きになる。

その状態でアイルランドに
帰ってくると、
いかに自分の故郷が狭くて
閉鎖的な社会かを
再確認し故郷を見下すようになる。
それはある種の過去の
自分への嫌悪でもある。

しかし、アイルランドで
アメリカかぶれな生活を
送っていると周囲の目が
厳しくなっていき、
段々我に返り
アイルランドと
アメリカの2つの
アイデンティティを確立して
大人になっていく。

シアーシャ・ローナンが
こういった心情変化を
丁寧に演じているからこそ
説得力が出てくる。

これは「スパニッシュ・アパートメント」
以上に留学する人は観るべき
傑作と言えよう。

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