Blanka
監督:長谷井宏紀
出演:Cydel Gabutero, Peter Millari etc
評価:85点
日本勢少なすぎてマスコミから無視されている
ヴェネチア映画祭。本祭唯一の日本勢、
写真家の長谷井宏紀監督作品「Blanka」を
観てきました。オリゾンティ部門ではなく、
学生コンペに出品なんですね~
イタリア資本、フィリピンロケ
日本映画の悪いところ…それは
海外ロケをすると駄作に
なる点だ。
スタッフが観光したかっただけだろー
と思わせる「おのぼりさんショット」が多すぎるのだ。
しかし、この「Blanka」はイタリア資本による合作で、
フィリピンロケ。全編フィリピン語にも
関わらず、邦画臭さをゼロにした作品なのだ!
フィリピン・マニラのスラム街で、
物乞いや泥棒をして暮らす少女マニラが
ある日盲目のギター弾き老人からお金を盗もうとしたら、
老人と心を通わせるようになり、3万フィリピン・ペソ
(日本円で1万ちょい)で買える「お母さん」を
目指して稼業する話。
意地悪なことを言うと、海外では
「メトロ・マニラ 世界で最も危険な街」や
「アクト・オブ・キリング」のように
外国人が別の国で映画を撮るのは
珍しくない以上、スタートラインに
立ったに過ぎない。しかも、この手の映画は
いかにシリアスに描くかが重要なのだが、
この作品はちょっと甘口。そんなにマニラ
甘いもんじゃないよと言いたくなるが「学生コンペ」
に出品していることを考えると
十分グランプリは見込める作品だ。
ソッリーゾ・ディベルソ賞受賞
※ 孤立した個人を社会が受け入れることの大切さを描いた映画と監督に贈られる賞
ってか、こんな作品を日本人が、しかも初監督作で
撮っていること自体日本人のブンブンから観て5億点だ!
ストーリー自体は直球勝負。
悪い女の子(しょうがないんだけれどね…)と老人の出会い。
心を通わせ、互いにないものを補い合い愚直に生きていく。
でも、理不尽な出来事が二人をむち打ち修羅場を迎える。
少女Blankaの「はだしのゲン」張りの力強さが
ドキュメンタリータッチと調和し、
リアリティを生んでいる。
また、盲目老人の優しい顔が頭に焼き付きます。
下手に飾らない演出に、
子どもならではのお茶目なやりとりを挟んで
本当に初監督作?と思ってしまうほどにブンブンの
心を鷲掴みにする作品だ!
監督の長谷井宏紀は写真家とのこと。
低迷気味の日本映画界も別の局面から
打破できそうでブンブン嬉しい1本でした(*^_^*)
9/11(日本時間)まで
FESTIVAL SCOPEで鑑賞可能だぞ~
2017/4/21更新:日本公開決定
2017年夏より、シネスイッチ銀座他にて公開が決まりました。
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