Tharlo
監督:Pema Tseden
出演:Shide Nyima, Yangshik Tso etc
評価:90点
ついに自宅ヴェネチア映画祭も中間地点に
さしかかりました。
今までは、ビエンナーレ・カレッジ部門の
作品を紹介してきましたが、
今回は、ついに新鋭がガチでしのぎを削る
オリゾンティ部門の作品を紹介します。
この部門は数年前に塚本晋也「KOTOKO」
が出品されてたりすることから、
オリジナリティが重要視される部門である。
今日は映画祭開幕前から話題沸騰の中国映画
「Tharlo(タルロ)」を紹介するぞ~
圧巻の映像美で描く生きた化石Tharloの冒険
中国映画と言えば、荒々しいショットで
廃墟を描く作品だったり、赤や緑の色彩が強調された
浮遊感溢れるアート映画のイメージが強い。
しかし、この作品は白黒である。
アカデミー賞外国語映画賞を受賞した
「イーダ」の様な徹底した画面の作り方で、
動く冒険写真を観ているようだ。
ある意味チートだ。しかし、この作品はしっかりと
意味ある「白黒」の使い方をしているため
心地よい印象を受ける。
主人公タルロはチベットの羊飼いで、
長年自由奔放に時代の波から外れて生きている。
そんな彼の前に、警察官がやってきて
「身元を管理するからIDカード作るために写真を撮ってこい!」
と言われてしまう。そんな生きた化石感と白黒が非常に
マッチしている。
しかも、タルロが写真を撮りに行った町も、
都会暮らしのブンブンからはいつの時代だよ!
と思う寂れた「化石」なのである。
味があります。
タルロ、モテル!
そんなタルロがタイムスリップしてちょっと昔の
世界にやってきて出会う床屋の女性にモテ始めます。
彼女からカラオケを教わる。
「一曲しか知らないから歌えない」と言う彼に対して、
彼女が歌ってと誘う。
作品観る前は、シリアスな話なんだろーな
と思っていたのだが、ひじょーに
ユーモラスだ。タルロのどんな時でも
笑っているのかわからないような
表情。そして、時代に取り残されながらも
のんびりと適応していくところ。
観ていて、非常に心地良い写真を
観ているようだ。
しかし、そんな「癒やし」を与えてくれるものの、
後半になって突如厳しい自然の描写や
キツいラストで観客にしっかり中国が抱える
問題を突きつけている。
本当に言葉で言い表せないほど美しく、
タルロが可愛らしく、尚且つしっかりした物語。
オリゾンティ部門グランプリ獲るんじゃないかな~!
日本もマイナンバー制度が導入されるが、
この地球は元々誰のものでもなかった。
それを、人間が徹底管理して自由な
土地はどんどんなくなってきている。
ブンブンも自由奔放に生きたい
人なのでふと、この作品のタルロ
のように時代の波が押し寄せても
明るく受け流せる人になりたいな
と思ったw
そんな「Tharlo」は
Festival Scopeにて日本時間9/13まで
配信中。
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