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2021映画

【MUBI】『The Seventh Walk』アミット・ダッタは絵画の立体機動装置だ

アミット・ダッタは、都会の喧騒とした時間の流れから逃れ、スピリチュアルな音楽と美しさを極めた自然や建築構造の中で絵画の再現を行い、強烈な没入感を与える。その催眠効果の五感に訴える世界は何も考えずとも楽しいものがある。

ただ、よくよく画を見つめているとアミット・ダッタによる巧妙な戦略が見えてくる。Paramjit SinghとGoogleで検索すると、印象派テイストの油絵が沢山出てくる。しかし、映画では木炭画を中心に据えてくる。息を飲むような後光差し込む森林と木炭画の陰影を対比させることで、Paramjit Singhの作品に立体感を与えていく。

2021映画

【MUBI】『波紋』セルビア、10年もの呪縛をもたらすタバコ

セルビア人兵士のマルコはボスニア、トレビニェに帰る。婚約者と会うために。マルコは親友のネボイシャと束の間の憩いを求めてカフェに訪れる。途中で小さなタバコ屋に立ち寄り「ドリナ」という銘柄を買った。その直後、タバコ屋に3人の兵士がやってくる。

「『ドリナ』を寄越せ!」

と横暴な態度で店員に話しかける。しかし、「ドリナ」はマルコが買ってしまった。売り切れだ。そのことにキレる兵士。IDを出せと威嚇し、しまいにはリンチを始める。その様子を見ていたマルコは勇敢にも彼らに立ち向かう。

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【アフリカ映画】『IN THE NAME OF CHRIST』コートジボワールの不穏すぎる儀式

豚を仕留めようとする男。彼はナイフを研ぎ、そろりそろりと豚に近づき殺めようとする。しかし、豚におしっこをかけられてしまう。それを見ていたチンピラがケラケラと笑い、村人の女性からも見下しの目が注がれる。学校でクラスメイトから笑われる羞恥の厭らしさを伝えるのに十分な笑みが画面を木霊する。

怒れる男は森の中で暴れている。自ら儀式を行なっているようだ。しかし、『メートル・フ』で描かれるガーナ・ハウカ運動のように異常な動きを行う主人公に観る者は恐怖を覚えることでしょう。『オーディション』で突然動き始める袋のような気持ち悪さがあります。そうこうしていると、子どもの霊が現れ次のように告げる。

「この世は酷い、貴方が世界を平和に導いてください。」