評価

2021映画

【アカデミー賞】『オクトパスの神秘: 海の賢者は語る』タコvsサメ世紀の戦い

人生に疲れた男クレイグ・フォスターは精神を癒す為、南アフリカの海に毎日潜ることにする。彼の眼前には見たこともないような美しさが広がっており、彼は海の神秘に取り憑かれていく。

そんな中、彼はタコと出会う。殻を全身に身につけて防御したり、獲物を仕留める為に巧妙な技を駆使するタコに魅了された彼は、タコとコミュニケーションを取り始める。ただ、間合いが非常に難しく、中々思うように対話ができない。しかし、やがて彼の手にタコが触れコンタクトを取り始めた。これにより二人は友情や愛情を超えた関係に発展していく。

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【ネタバレ考察】『ブレイブ 群青戦記』高校生よこれは戦争だ!死と隣り合わせなのだ!

冒頭、よくある大衆映画にありがちな長い前置きを大幅にショートカットして、タイムスリップを強制発動させる。そして高校生の前に、落ち武者のような軍団が右から左から雪崩のように押し寄せて来て、高校生を皆殺しにする。そうです、時は戦国時代だ。情け無用弱肉強食の世界。高校生という安全圏は存在しない。原作はどうかわかりませんが、ここで本広克行は部活動を映画的に魅せるオーディションを開始する。映画として描いた際に、学校の華である野球部やサッカー部といった球技は魅力的に映すことが難しい。そこでサッカー部を無惨に抹殺する。そして野球部を球技担当として採用する。野球部にはボールとバットがある。これで戦ってもらうことにする。そして、格闘技系を硬め、その中心に科学部を配置することで文化系要素を追加するのだ。武器として映えないテニス部は潔く留守番させ、現代に戻るための装置作りの要員として動かす。

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『クリシャ』クリシェのクリシャ

本作は、謎の訪問者クリシャにそのクリシェを纏わせることで、固い絆で結ばれているようで脆い人間の心理を暴き出している。冒頭、5分以上に渡る長回しで、クリシャの帰還が描かれる。車から降り、ブツブツと独り言を発しながらベルを鳴らす。しかし、誰も出ない。どうやら家を間違えたようだ。クルッと振り返ると、目をカッと開いた彼女がカメラの方に向かって歩いてくる。その異様な佇まいから不穏な様子が滲み出る。そして家の中に入るのだが、温かく迎えてくれるようでどこかよそよそしい家族が映し出される。よくよくみると、彼女の右手人差し指には包帯が巻かれている。家族は、家の中で団欒としているが、激密な空間の中で好き勝手に動き回り、騒々しい。息苦しさが漂っている。そんな中、クリシャは独り七面鳥の丸焼きを作り始めるのだ。家族は手伝うよと言いつつも、何も手伝っておらず彼女を放置する。

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【OAFF2021】『いとみち』メイドと三味線の不思議なマリアージュ

本作はヒロインいとが全編津軽弁で話す関係で、日本映画でありながら何を話しているのかが非常に分かりにくい作品となっている。大阪アジアン映画祭では英語字幕がついていたものの、劇場公開時では字幕はつかないと思われるので、語尾をはっきりと語らない、いとの意図を汲み取ることが重要になってくる。本作は、津軽弁にコンプレックスを持つ少女がバーバルコミュニケーションとノンバーバルコミュニケーションの狭間で折衷を図りアイデンティティを確立して行くまでを描いている。ポスタービジュアルから、よくある町興しものかと思うかもしれませんが、テーマに対する鋭い視線が感じられる。

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【OAFF2021】『ナディア、バタフライ』身体の一部が喪失する倦怠感

何十年も、一つのことに没頭してきた者がそれを失う時、そこには大きな喪失感が生じる。本作は東京五輪をテーマにしたスポーツ映画でありながら、試合のシーンを横に置くユニークな演出が特徴的な作品だ。通常の映画であれば、引退する水泳選手の物語を描くのであれば、最後に有終の美としての泳ぎを魅せる。しかしながら、『ナディア、バタフライ』は冒頭20分で練習の場面と最後の試合の場面を完了させてしまうのだ。そして、その場面がとてつもなくスリリングで美しい。

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【 #サンクスシアター 12】『彼方からの手紙』彷徨える瀬田なつき

不動産屋の男・吉永(スズキジュンペイ)がお客さんに部屋を紹介すると、「他の店を当たります」と言われる。その真横をボールがぽんぽん飛び跳ね階段の下に落ちていき、客の対応とボールの確保どっちを優先すべきか迷っているうちに両方とも逃す。コンビニでレジに並ぶも全く店員が来なかったり、料理をしていると突然停電になって、そのまま足の小指を打ったりする。女の子のために物件のコピーを取ろうとすると何故か鼻血がベトっと原本についてしまい、それが印刷され、対処に手こずっている内に彼女は店を出てしまう。これら彼がアクションをしようとすると、それを無残に断ち切られてしまう姿が物語の後半に機能してくる。