感想

2021映画

『ドカベン(1977/実写版)』鈴木則文の映画論

学校にやってきた山田は、巨大なガキ大将・岩鬼正美(玄田哲章)に絡まれる。しかし、売られた喧嘩は買わない。土下座をし始める山田に憤怒し、パンチを喰らわせると、ヒョイと交わし、地面に腕がめりこむ。授業が始まると、岩鬼正美は早弁を始める。巨大な弁当箱を開き、高速でご飯を口の中に放りいれ、鯛を骨まで食い尽くすのを早回しで描く。滑稽だ。岩鬼には好きな人がいる。夏川夏子(丸山裕子)に全力を注いでいるのだが、彼女は化粧がケバくお世辞にも美人とは言えない。しかし、彼女にひたすら愛を捧げるところに現在でも耐えうるルッキズムを超えた愛が描かれている。彼女に会う為に音楽室にいく場面に注目していただきたい。彼は、口に加えた木の棒から花を咲かせる程興奮している。チャイコフスキーを流暢に弾き鳴らすのだが、彼は死角で気づかない。チャイコフスキーヲタクの野郎が弾いていることに。長い時間かけて、全然正体に気づかない様子を滑稽に描き、結末として、チャイコフスキー野郎を2km先まで放り投げるオチをつけている。

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『サイコ・ゴアマン』サイコ・ゴアマンも領域展開したい!

ミミ(Nita-Josee Hanna)とルーク(Owen Myre)は「クレイジーボール」と呼ばれる謎のドッヂボールで遊び狂う活発兄妹。時間があれば外で荒れ狂い、厨二病まっしぐらな二人は庭先で謎の石を掘り起こす。そのせいで宇宙最凶の怪物を復活させてしまうのだ。かつて、銀河を破壊しようとし地球に封印された彼が復活してしまった為、宇宙連合は混乱し、どうやって始末しようか作戦会議が開かれる。

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【ネタバレ考察】『クラッシュ 4K』不思議の国のアリスの構造に耽溺するアリス

高速道路が映し出される。車はA地点からB地点にまっすぐ向かおうとしている。社会のシステムから逸脱することを許さないように従順である。そこに、カリスマ的交通事故マニアであるヴォーン(イライアス・コティーズ)は、まるで男女が交わる時のピストン運動のように、右へ左へと肉体的動きを車に宿し、煽り運転しながら欲情する。交通事故で、肉体に金属を埋め込まれ、自由な動きをする肉体が制御されていく様子。車の屋根が閉まる動作に併せて乳房がボロンと開く機械の動きと連動する肉体。そして、交通事故を通じて、制御された機械が制御できないひしゃげ方と煙の噴出が生まれる様子に快感を覚える姿にそれが見えてくる。

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『プロミシング・ヤング・ウーマン』ナイスガイよさらば

クラブで女(キャリー・マリガン)が泥酔している。そんな彼女を遠くから男たちがニヤニヤと品定めしている。そして男が一人近づいて「家まで送ろうか」と優しい声をかけてタクシーに乗り込む。男は下心があるので、彼女を自宅に呼び込み、度数の高いであろうオレンジ色の酒を飲ませ、さらに泥酔させようとする。そして、彼女が「もう好きにして」とベッドで大の字になっているところに、彼が行為を始める。すると、むっくり彼女は起き上がり、シラフの顔で「テメェ何しているんだ?」と問い詰める。ナイスガイのふりをして近づいていく男の化けの皮が剥がれる瞬間を見計らって問い詰める処刑を人生の生業にしているのだ。そんな彼女の手帳にはびっちりとかつて抹殺してきたであろう男をカウントする線が引かれており、彼もその餌食となった。