【CPH:DOX】『The Metamorphosis of Birds』そのノスタル自慰は文学でやった方がいいのでは?
The Metamorphosis of Birds(2020)A Metamorfose dos Pássaros 監督:Catarina Vasconcelos 評価:35点 おはようございます、チェ・ブンブンです。…
The Metamorphosis of Birds(2020)A Metamorfose dos Pássaros 監督:Catarina Vasconcelos 評価:35点 おはようございます、チェ・ブンブンです。…
ブルータリスト建築の無骨なボストン市庁舎に始まり、ボストンの街のどこかドライな建築を巧みに挿入しながら、都市から政治、市民へと微分を重ねていくことで人の営みの重要な要素を抽出していく。マーティ・ウォルシュ市長は、限られた予算の中でボストンの中にある様々な問題を解決しようとしている。癌やアルコール中毒といった厳しい境遇を乗り越えてきた彼は対話を重視しており、労働者やマイノリティ、韓国系、プエルトリコ系といった人種のコミュニティとの議論の場を設けて傾聴する。看護師のストライキ会場にも足を運ぶ。障がい者支援団体に訪問した際には、自らエプロンを身につけ、給仕を行ったりしている。さらには大麻薬局のオーナーにすら議論の場が設けられていたりするのだ。
昨年、フランスで話題になったドキュメンタリー『Un pays qui se tient sage』がCPH:DOXにて配信されていたので観ました。本作は、黄色いベスト運動を収めたドキュメンタリーである。タイトルは2018年12月に151人もの高校生が警察官に拘束された際に、警察官が「ほらな、わきまえているクラスだろ(Voilà une classe qui se tient sage)」と言ったことに由来している。マクロン大統領の富裕層優遇政策により、貧困層に対しての無関心さが露呈し、燃料税の増税がきっかけとなって始まった黄色いベスト運動は、市民と警察の激しい暴力の応酬となっている。本ドキュメンタリーでは、様々な人が黄色いベスト運動における暴力性を多角的に分析している。かなり物議を醸している映画らしく、日本語で簡単な感想を書いた自分のレビューに英語やフランス語でクソリプがつくほど熱気がある作品となっている。折角観たので感想を書いていく。
Bakken(2021) 監督:Adrian Skarstad, Theodor Nymark, Ömer Sami, Mikkeline Daa Natorp, Rikke Norgaard Hansen, Mary …
驚いたことに、AC/DCの若干ヨレた服を着てダラんと座りながら授業をし始めるのです。確かに海外の学校はラフな姿で授業をするイメージが多いのですが、それにしてもユルすぎるだろうと思わずにはいられない。そして、生徒との間合いの詰め方も独特でどこか教祖のような怪しさもある。生徒も退屈そうに授業を聞いている。音楽の授業では、生徒たちに楽器を習得させて、いざ発表のタイミングになると、我先にヴォーカルを担当し、渋い歌声を轟かせている。大丈夫だろうか。私とバフマン先生の出会いは良いとはいえなかった。
CANNON ARM AND THE ARCADE QUEST(2021) 監督:Mads Hedegaard 評価:85点 おはようございます、チェ・ブンブンです。 あなたはゲームはお好きですか?もし好きなだけゲームが…
ティナ・ターナーといえば、クリーデンス・クリアウォーター・リバイバルの「プラウド・メアリー」のカバーが有名であろう。囁くような語りから始まり、波のようにバックコーラス、時に観客とRollingを連呼していく。そして、ある一定のラインで爆発し、疾風怒濤観客を波に飲み込んでいくパワフルな演出はインパクト大。あのグッチ裕三も教育番組ハッチポッチステーションにて「どんぐりころころ」の替え歌として本曲を選ぶほどの名曲であります(子ども向け番組でやる内容ではない)。映画ファン目線からすると、『Tommy/トミー』でロジャー・ダルトリー演じる聴覚/視覚を失った男をヤク漬けにするAcid Queen役や『マッドマックス/サンダードーム』の女支配者アウンティ・エンティティ役で知られている。
コップ・ムービー(2021)A COP MOVIEUna Pelicula de Policias 監督:アロンソ・ルイスパラシオス出演:ラウル・ブリオネス、モニカ・デル・カルメンetc 評価:75点 おはようございます…
本作のテーマは、「過去の罪は償えるのか?」「恨みはいかにして浄化されるべきか?」である。剣心は善人ではあるが、過去に人斬りで大量殺戮を行なっている。人を殺したという事実は変わらない。降らせた血の雨の跡は拭い去ることができず、過去の亡霊のような存在として縁が現れるのだ。一方、縁は恨みを拭い去ることができない。暴力でしか痛みを拭い去ることができない状態になっている。それが目には目を、歯には歯をの戦争を巻き起こしてしまう。アクション面ばかり注目されがちだが、ドラマ面はコロナやパワハラ問題で憎悪と過去がしがらみとなって人々が傷つけ合っている今に通じるものがあるのです。
問題の30分以上に及ぶ強制移送されたオーストリア系ユダヤ人のリストは体感時間ではなく、本当に30分存在したのだ。従来もクロード・ランズマン『ソビブル、1943年10月14日午後4時』のラストで収容所に収監された人のリストを読み上げられる場面があるが、本作は変わった演出となっている。目の前に映画のエンドロールさながらスクロールされるリストに対して、そのリストとは無関係に見える手紙のやりとりが読まれるのだ。リストの日付も全く関係ない。これはどういうことか。じっくりと観ていくと段々と納得してくる。手紙では段々と社会情勢が悪化し、石炭等の物資が手に入らなくなり、移送の為限られた荷物だけもって家から追い出されていく家族のやりとりが語られていく。そうです。我々は未来の視点から結末を「目」で追い、一方でその悲惨な未来に向かって突き進む様子を「耳」で追っているのだ。