【考察】『スパイダーマン』サム・ライミの運動の美学を再評価

スパイダーマン(2002)
Spider-Man

監督:サム・ライミ
出演:トビー・マグワイア、ウィレム・デフォー、キルスティン・ダンスト、ジェームズ・フランコ、J・K・シモンズ、クリフ・ロバートソン、ローズマリー・ハリス、ランディ・ポッフォ、ジョー・マンガニエロ、マイケル・パパジョンetc

評価:85点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』でウィレム・デフォー演じるグリーン・ゴブリンがとても良かったので、サム・ライミ版『スパイダーマン』を観賞しました。中学時代に観てから実に12年。ある程度、映画の運動の視点で分析できるようになってから観るとサム・ライミ版の凄まじさに驚かされます。といことで書いていきます。

『スパイダーマン』あらすじ

幼くして両親を亡くし、伯父夫婦のもとで大切に育てられたピーター。高校3年生となった彼は、6歳の頃からずっと思いつづけている隣家のメリー・ジェーンに未だに打ち明けることができないちょっと冴えない高校生。ある日ピーターは親友のハリーから彼の父親ノーマン・オズボーンを紹介される。ノーマンは巨大軍需企業オズコープ社の経営者にして天才科学者。ノーマンはピーターの科学の才能を高く評価、彼に目を掛けるようになる。そんなピーターは、大学の研究所を見学した際、遺伝子組み換えでスーパースパイダーとなったクモに刺されてしまう。その瞬間、ピーターの身体に異変が起こり始める。

Yahoo!映画より引用

サム・ライミの運動の美学を再評価

バスを追いかけるピーター・パーカー(トビー・マグワイア)。ようやく乗り込むが、いじめっ子に足を引っ掛けられて転倒する。大学見物に行くと、ノーマン・オズボーン(ウィレム・デフォー)に呼び止められ、研究施設を写真に撮ろうとすると邪魔が入りなかなかいい写真が撮れない。ようやく意中のメリー・ジェーンをフレーム内に収めた写真を撮るが、蜘蛛に噛まれてしまう。ひたすら他者から干渉を受け思い通りにいかない男ピーター・パーカーが、蜘蛛に噛まれたことでスーパーパワーを手にする。いじめっ子であるフラッシュに、食事をぶちまけ喧嘩が勃発。手に入れた力でコテンパンにやっつける時、初めてピーター・パーカーは他者に干渉する。それ以降、ヒーローとしてヴィランに干渉していくようになる。この役割の明確な変化に物語の強さが現れている。

また、戦闘シーンもじっくり観察するとグリーン・ゴブリンがトライ&エラーを行っていることに気づかされる。最初の戦闘では、ガジェットに乗り込み水平方向の移動をしている。しかし、弱点である下方向からの攻撃をスパイダーマンから受け、戦線を離脱する。2回戦目では、下方向からの攻撃ができない、火災現場にスパイダーマンを呼び寄せ、飛び道具を駆使した戦闘を行う。そして、終盤では下方向からの攻撃が得意なスパイダーマンに対し、メリー・ジェーンと大勢の人が乗ったゴンドラを同時に落下させる試練を与える。下方向への攻撃でもってスパイダーマンを精神面から破壊しようとする。これを踏まえると『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』で何故、グリーン・ゴブリンが床を突き破る戦闘を行ったかが分かる。

ウィレム・デフォーの瞬間的にオズボーンの側面とゴブリンの側面を切り替える演技もスパイスとなっており、まさしく運動の映画であったと言えよう。

サム・ライミはお茶目な監督のイメージあったが割と厳格な運動のコントロールを行う監督だと再評価した。

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※映画.comより画像引用