ゴダールの映画史(1988-1998)
Histoire(s) du cinéma(1988-1998)
監督:ジャン=リュック・ゴダール
評価:40点
大学卒業前にAVライブラリーに通い詰め、通常観ることの出来ないレア作品を片っ端から観まくっていた。その中で、ひときわ目立っていたのが、今回紹介する「ゴダールの映画史」。全8章からなるドキュメンタリーなのだが、Amazonで調べると約5~7万円する超絶プレミアム作品です。実際に全部の章を観たので、その感想を書いていきます。
「ゴダールの映画史」概要
映画史には幾重もの捉え方がある。ジャン=リュック・ゴダールは映画100年史を、絵画・写真・映画のイメージのモンタージュで総括していく。映像の洪水にあなたは堪えられるだろうか?トリッキーなドキュメンタリー
始めに言っておく。
これは所謂映画史をA to Z語っていくシンプルなドキュメンタリーではない。ドキュメンタリーというにはあまりにもアヴァンギャルドで、芸術に関する深い知識が必要になってくる。ゴダールのひねくれた脳内をのぞき見るような作品になっています。
ゴダールは作中でこう語っている。
「歴史家とは歴史で起きなかったことを記述すること。」
また、彼はオスカー・ワイルドの発言からも引用している。
「sのつく複数の歴史。」
つまり、ゴダールは映像と映像をつなぎ合わせることで新しい映画史の見方を提示するという訳です。
例えば、ゴーギャンの絵画と映画を比較することで、映画における印象主義とは、表現主義とはを観客に考えさせる。そして、思考も感情も前世から引き継いだものだと気づかせられる。
文字アートに注目
ゴダールと言えば、非常に文字アートに拘った監督で「ウィークエンド」の文字配置及び色彩は映画史に残る程美しいと思っている。今回のこの映画史でも、徹底的に文字配置の実験を行っており、正直難解で理解し難い部分が多すぎるこの「ゴダールの映画史」もその文字の芸術性でなんとか集中して観ることができました。結局、解説本を買おう!
正直、ドキュメンタリーとは言え、ゴダールの脳内のカオスを直接観るようなものなので、非常に難解でした。現在、書店に行くとちくま学芸文庫で文庫版が出ています。2500円ぐらいと高額ですが、映画より非常にわかりやすいので、是非購入してみてはいかがでしょうか?
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