『戦慄の絆』支配としての手製器具

戦慄の絆(1988)
DEAD RINGERS

監督:デヴィッド・クローネンバーグ
出演:ジェレミー・アイアンズ、ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド、ハイジ・フォン・パレスケetc

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

デヴィッド・クローネンバーグ『戦慄の絆』を再観した。昔、観た時はピンとこなかったのだが、一人の女性をシェアする物語から一歩引いたところで捉えなおすと違ったものが見えてきた。

『戦慄の絆』あらすじ

カナダ、トロント。双子の兄エリオットと弟ビバリーは婦人科医として名声を築いていた。そんな彼らの医院に女優のクレアが訪れる。兄の勧めでクレアのもとを訪ねたビバリーは彼女から誘惑される。クレアの存在は次第に双子のバランスを崩していくことに。薬物にのめり込むようになったビバリーは奇行に走り、ついにはエリオットも……。実話をもとに書かれた小説を映画化。ジェレミー・アイアンズが双子の二役を見事に演じわけている。

※映画.comより引用

支配としての手製器具

本作で重要なのは手製の器具といえる。双子が開発し、医学校で使用するも「生身の人間に使うものではない」と怒られる。しかし、成績優秀で卒業するころにはその器具の開発が認められる。

映画はそれから時間が経ち、婦人科として活躍するようになった頃を描いている。手製の器具を女性に対するコントロールと定義すると本作は一気に腑に落ちるものとなる。双子に葛藤の側面を与えつつ、女性を独自のルール(手製の器具)で支配しようとするのだが、段々と均衡が崩れていき本能的に女性を支配しようとする。その顕著なシーンとして赤い服を来た手術シーンに現れている。荒々しい言葉で、助手に器具を渡してほしいというも、最終的には患者に飛びついてしまう。理性から本能へ運動がシフトする瞬間を捉えていると言えよう。

それを考えると『戦慄の絆』はデヴィッド・クローネンバーグ流ミソジニー分析と考えることができそうだ。