『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』実は前衛的な歴史ドラマ

愛の勝利を ムッソリーニを愛した女(2009)
VINCERE

監督:マルコ・ベロッキオ
出演:ジョヴァンナ・メッツォジョルノ、フィリッポ・ティーミ、ミケーラ・チェスコン、ピエール・ジョルジョ・ベロッキオ、ファウスト・ルッソ・アレシ、コッラード・インヴェルニッツィetc

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

空前のベロッキオブームが来ている中で、気乗りがしないながらも有名どころは押さえて置こうとチマチマ観ている。本作はカイエ・デュ・シネマがベストに入れているだけあって、ただの歴史ドラマとは違った趣のある作品であった。

『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』あらすじ

「肉体の悪魔」「夜よ、こんにちは」のマルコ・ベロッキオ監督が、ファシズムの創始者ベニート・ムッソリーニを愛し続けた女性、イーダの半生を描く。熱心な社会主義者だったムッソリーニはいつしかファシストに転向してしまうが、彼に恋をしていたイーダは変わらずムッソリーニを愛し続けた。イーダは全財産をかけてムッソリーニを支援し、身も捧げて長男を授かるが、正妻のいるムッソリーニはイーダを徐々に遠ざけていくのだった。2009年カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品。日本ではイタリア映画祭2010にて「勝利を」のタイトルで初上映。11年劇場公開。

※映画.comより引用

実は前衛的な歴史ドラマ

イーダはムッソリーニを愛しているのだが、彼は「自分たちで歴史を作る。そのためには戦争が必要だ。」とファシストに転向し、周囲の反対をねじ伏せながらイケイケドンドン前へ進んでいく。そんな彼の背中を追いかけるようにイーダは寄り添おうとするのだが、邪険に扱われ、終いには精神病院に入れられてしまう。それでも彼女は彼を愛し続ける。

本作では、歴史的フッテージとプロパガンダ映像が挿入される変わった演出が印象的だ。ムッソリーニの眼前には歴史が広がっているが、イーダにはそれが見えない様子を象徴しているような場面となっており興味深い。

また、空間的壁が特徴的な作品となっており、ひたすらイーダの前に壁が立ちふさがる演出が印象に残る。パワフルな一本だったと言えよう。