『アンディ・ウォーホル/コンプリート・ピクチャー』自己を隠すための他者への渇望

アンディ・ウォーホル/コンプリート・ピクチャー(2002)
ANDY WARHOL: THE COMPLETE PICTURE

監督:クリス・ロドリー
出演:アンディ・ウォーホル、ジョン・ケイル、サルバドール・ダリ、デニス・ホッパーetc

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

アンディ・ウォーホルの映像作品について研究しようと思って、ドキュメンタリー作品『アンディ・ウォーホル/コンプリート・ピクチャー』を観た。彼の意外な側面を感じ取った作品であった。

『アンディ・ウォーホル/コンプリート・ピクチャー』概要

20世紀のアート界を代表し、今なお最も影響力のあるアーティストとして語られるアンディ・ウォーホル。現在世界的に活躍中の村上隆氏や奈良美智氏など、ウォーホルの生み出したポップ・アートの洗礼を受けたアーティストは数多い。その革命的なアートとともに、ウォーホルの個性的かつ神秘的なキャラクター自体がセンセーショナルであったし、いまだ謎も多い。死後新たに発見された作品や素材は我々をさらなる解明と迷宮へと誘う。これは、そんなウォーホルの生涯と作品を追跡した最上のドキュメンタリー作品である。貴重な映像、ファクトリー関係者・家族・友人らへのインタビュー、ウォーホル自身の言葉などをもとに、ナイーブな少年から天才アーティストとなり衝撃の死を迎えるまで、唯一無ニのポップ・スターの生涯を追う。また代表的な作品やその創作過程を映し出し、その豊富な資料性は映像版ウォーホル大百科とも言える。

タワーレコードより引用

自己を隠すための他者への渇望

アンディ・ウォーホルはディスレクシアらしく自分にコンプレックスを抱えていた。それを隠すように、かつらを被り女装をした。彼が「誰でもスーパースターになれる」とファクトリーを作り、実験映画を撮り続けたのは、虚構の中で他者になることで自分のコンプレックスを隠せるのではと思ったからであろう。そんな彼が2020年代にタイムスリップして、VTuber文化を観たらどうなるんだろうと関心を抱いた。また、ウォーホルは実験映画監督の印象が強いが、ファクトリー出身で劇映画を撮ろうとしていたポール・モリセイの存在も大きい。ポール・モリセイは、「アンディ・ウォーホル」というラベルを貼られてしまう自分に対してモヤモヤを少し抱いていたようだ。それを考えると、アンディ・ウォーホルとポール・モリセイの作品を比較することが重要といえよう。

※MUBIより画像引用