【バス・ドゥヴォス】『Violet』決定的瞬間を見逃した者たち

Violet(2014)

監督:バス・ドゥヴォス
出演:セザー・デ・サター、クーン・デ・サター、ミラ・ヘルマー、Brent Minne、ファニア・ソレルetc

ゴースト・トロピック』『Here』公開に併せバス・ドゥヴォス監督の『Violet』を観た。これがとてつもなく凄まじい作品であった。

『Violet』あらすじ

15-year-old Jesse is the only one who witnessed the stabbing of his friend Jonas. Now he has to face his family and friends form the BMX riders crew and explain the unexplainable – how he feels about it.
訳:15歳のジェシーは、友人ジョナスの刺殺を目撃した唯一の人物である。今、彼は家族やBMXライダーのクルーの友人たちと向き合い、説明できないこと、つまりそれについてどう感じているかを説明しなければなりません。

IMDbより引用

決定的瞬間を見逃した者たち

深淵から光が差し込む。夜道に車を走らせているのだろうか?悪ガキたちが飛び出してきたことで、我々の想像を裏切りそれはビデオ映像であることが判明する。カメラが引いていく。すると幾つものモニタが並んでいる。一箇所だけ電源がOFFとなっており、そこに管理人の顔が映し出される。悪ガキたちは、なにかの予兆を秘めながら閉店した店を物色している。強盗でも起こそうというのだろうか。しかし、意外と人通りが多いことが複数の視点から分かる。決定的瞬間を逃すまいとカメラはジッとモニタに眼差しを向けているが、突然の呼び出しで管理人が一足先に去っていってしまう。その瞬間に事件が起きた。殺人事件が発生したのである。だが管理人が戻ってくると、モニタ内の視点が切り替わり、死角となってしまう。

この忍耐強いオープニングは映画全体のテーマを象徴している。それは「決定的瞬間を見逃した者の喪失感」である。事件現場を親友は目撃する。だが、その瞬間は目撃していない。少し早く来れば止められたのかもしれないといった思いが映画内で充満する。悲しみから逃避しようと大好きなモトクロスバイクに身を投じる。ぽっかり空いた隙間やモヤモヤした感情がノイズがかった映像、引き伸ばされたGoogleMapsによって提示されていくが簡単にぽっかりと空いた心の穴が埋まることはない。

静けさ、残酷なまでに綺麗な画、そしてノイズが混ぜ合わさって視覚的に悲しみのナイフが突きつけられる。これがあまりにも切なく涙したのであった。

バス・ドゥヴォス監督の凄まじさはすでに『Violet』から存在していたのであった。
※IMDbより画像引用