『夜の外側 イタリアを震撼させた55日間』モーロ事件の外側

夜の外側 イタリアを震撼させた55日間(2022)
Esterno notte

監督:マルコ・ベロッキオ
出演:ファブリツィオ・ジフーニ、マルゲリータ・ブイ、ファウスト・ルッソ・アレシ、Gabriel Montesi、トニ・セルヴィッロetc

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

2024/8/9(金)より公開が決まったマルコ・ベロッキオの骨太超大作『夜の外側 イタリアを震撼させた55日間』(イタリア映画祭タイトル『夜のロケーション』)をオンライン試写で一足早く観させていただいたのでレビューを書いていく。

『夜の外側 イタリアを震撼させた55日間』あらすじ

1978年3月のある朝、戦後30年間にわたってイタリアの政権を握ってきたキリスト教民主党の党首であり、5度の首相経験のあるアルド・モーロが、極左武装グループ「赤い旅団」に襲撃、誘拐されてしまう。世界が注目し、イタリア中が恐怖に包まれたその日から55日間の事件の真相を、アルド・モーロ自身、救出の陣頭指揮を執った内務大臣フランチェスコ・コッシーガ、モーロと旧知の仲である教皇パウロ6世、赤い旅団のメンバーであるアドリアーナ・ファランダ、そして妻であるエレオノーラ・モーロの視点から描く。

Filmarksより引用

モーロ事件の外側

本作はキリスト教民主党党首であるアルド・モーロが極左武装グループ「赤い旅団」に誘拐され殺害された事件を虚実織り交ぜながら描いた6話からなるテレビシリーズである。監督を務めたマルコ・ベロッキオは『夜よ、こんにちは』でも同じテーマを扱っており、5時間半近い時間かけて多面的に事件を描き出している。

第一章では、通りで過激派が暴れているのを受けて、銃器ショップの店主がシャッターを閉めるが突破され銃を奪われる場面から始まる。映画は「奪われる」を軸とし、物理的精神的喪失を描いていく。それは「赤い旅団」サイドの話でも適用され、犯罪と引き換えに失うものが描かれているように思える。

そして、なんといっても印象的なのはヴェルディの《レクイエム》「怒りの日」をバックに、巨大な十字架を背負ったモロー首相が同僚の政治家に見守られながら歩いていく場面であろう。ここにオペラのようなダイナミックさがあり、時代の生贄となった者として描かれている。

映画は1時間ごとに異なる視点から語りなおされるのだが、アイテムが点と点を結ぶように機能しており、例えば「ご聖体」を食べる描写が反復して描かれていたりするのが興味深い。

様々な読み方ができる作品となっているので8/9(金)以降Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほかにてチェックしてほしい作品である。