【MUBI】『無秩序/ディスオーダー』バンドの苦悩とフィルムノワール

無秩序/ディスオーダー(1986)
原題:Désordre
英題:Disorder

監督:オリヴィエ・アサイヤス
出演:ヴァデック・スタンチャック、リュカ・ベルヴォーetc

評価:75点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

MUBIの2024年最初の追加作品にオリヴィエ・アサイヤス『無秩序/ディスオーダー』があった。カイエ・デュ・シネマベストに選出された作品ということもあり観てみた。思い返せば、『パーソナル・ショッパー』のようにジャンル映画解体の作品が多いイメージのあるアサイヤス。長編デビュー作からその傾向が見受けられた。

『無秩序/ディスオーダー』あらすじ

Three teens break into a music shop and find themselves face-to-face with its armed owner. The clerk winds up dead, and the kids run away into the night, his blood on their hands. But the teens are members of a rising post-punk band—and a murder on their conscience is the last thing they need.
訳:3人の若者が楽器店に押し入り、武装した店主と対面する。店員は死んでしまい、子供たちはその手を血で汚して夜逃げする。しかし10代の若者たちは新進ポストパンクバンドのメンバーであり、良心の呵責にさいなまれる殺人は彼らにとって最も必要なことだった。

MUBIより引用

バンドの苦悩とフィルムノワール

メルヴィルタッチの強盗からこの映画は始まる。雨の中、若者は楽器屋に侵入する。物陰から店主が現れ、アンヌを仕留める。続け様に青年の背後を取り絶体絶命のピンチとなるが、もうひとりが首絞めを行う。その結果、店主は死亡してしまう。3人は無事に脱出し、バンド活動を再開するが罪意識に蝕まれていく。

ケリー・ライカート『ナイト・スリーパーズ ダム爆破計画』同様、犯行後の心理的変化に力点を置いた作品。こちらはフィルムノワールのジャンル解体を行っており、バンドメンバーのいざこざとフィルムノワールをくっつけた形となっているのが興味深い。バンドメンバーは電車や船、車に乗り巡業していく。過去を忘れるように移動をするのだが、ライブ会場では静止しないといけない。高揚感のある歌で過去を忘れようとしても、罪は追ってくるのだ。その中でメンバー同士の絆は静かに亀裂が入っていく。

寒々とした空気の中で、罪意識に飲み込まれていく様子、そのヒリついた質感がたまらない作品となっていた。

また長編デビュー作ということもあってか、明らかな撮影ミスがあるのも特徴的である。マネージャーポジションの男が髭を剃りながら青年と話す場面。男は顔を拭くも、泡がめっちゃ残っている。しかし、彼が浴槽へ移動しカットが切り替わると泡が綺麗さっぱりなくなっているのだ。明らかな違和感で思わず笑ってしまった。