『シャドー・メーカーズ』オッペンハイマーの第二部

シャドー・メーカーズ(1989)
Fat Man and Little Boy

監督:ローランド・ジョフィ
出演:ポール・ニューマン、ドワイト・シュルツ、ジョン・キューザック、ボニー・ベデリア、ローラ・ダーンetc

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

『オッペンハイマー』で突然注目された作品『シャドー・メーカーズ』を観た。これが、ほとんど『オッペンハイマー』の第二部であった。

『シャドー・メーカーズ』あらすじ

1942年、アメリカは原爆開発に着手。そのプロジェクトをマンハッタン計画と称し、ニューメキシコ州のロス・アラモス研究所にて開発が始められる。こうして、物理学者のロバート・オッペンハイマーを科学者たちのリーダーとして研究が進められるが、計画を指揮するグローヴス将軍の方針により部門間でも徹底した情報規制がとられ、科学者たちは秘密主義のもとで戸惑いながら取り組むことに。やがて完成した原爆は1945年7月、実験に成功。そして8月、それぞれファットマン、リトルボーイと名付けられた2つの原爆がついに広島と長崎へ投下される…。
 日本に落とされた2発の原爆をつくった科学者たちの行動を描いた衝撃作。軍の思惑とは裏腹に原爆製造に疑問を持ちながらも開発を進めていく一流科学者達の葛藤をそれぞれの立場から描いているが、私生活や家族などの描写が多く、軍と科学者との倫理の違いなど、描こうとしているがいまひとつ伝わってこない。P・ニューマンの超タカ派軍人の演技はなかなかだが……。

allcinemaより引用

オッペンハイマーの第二部

本作はマンハッタン計画により、荒野に科学者が集結し、原子力爆弾を作る様子を描いている。荒野に突貫工事で設営される集落。そこで科学者たちが、技術に魅せられて実験を繰り返していく。

終盤のテスト爆破の破壊力は『オッペンハイマー』に劣らぬ迫力があったのだが、なんといっても『シャドー・メーカーズ』の興味深いところはデーモンコア実験にある。

半球状のプルトニウムにマイナスドライバを差し込み、ドライバの差し込み角度によって放射線量を図る実験が行われる。しかし、半球がくっついてしまうと臨界状態となり青白い光と共に大量の中性子線が放出される。この極限状態での実験は結末を知っていたとしても手汗握るものがある。そして、事故が発生した時に即座に証拠を残し計算を始める科学者仕草が仕事映画としての魅力を十二分に伝える。

結果として『オッペンハイマー』に劣らない隠れた名作として再び陽を浴びたといえよう。