『愛と宿命の泉』独身貴族の農業生活

愛と宿命の泉(1986)

監督:クロード・ベリ
出演:イヴ・モンタン、ジェラール・ドパルデュー、ダニエル・オートゥイユ、マルガリータ・ロサーノetc

評価:55点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

2024年1月は積み映画しているDVDを観るようにしている。数年前に買った超長尺映画である『愛と宿命の泉』を観た。 4Kレストア版だったので、異様に美しい画に包まれた作品であった。

『愛と宿命の泉』あらすじ

1920年代のフランス、プロヴァンス地方。マルセイユに近い町レ・バティード・ブランシュ。兵役を終えて帰って来たウゴラン・スベラン(ダニエル・オートゥイユ)は、伯父のセザール(イヴ・モンタン)の家の近所に住居を定め、念願のカーネーション作りを始めた。“パペ”と呼ばれ、土地の権力者であるスベランは、結婚もせずに独りで暮らしているが、たった一人の後継者である甥のウゴランへの協力には全力を傾けた。カーネーション作りに必要な水は、隣接したカモワン家の土地にある泉が最適だった。その土地の後継者であるマリウス(マルセル・シャンペル)に、その土地を売ってもらおうとパペとウゴランが相談をもちかけたところ、マリウスは頑固に拒絶し、勢いあまったパペは、カッとなって彼を殴り殺してしまった。問題の土地は、しかし、マリウスの妹フロレットの息子ジャン(ジェラール・ドパルデュー)が継ぐことになり、彼は妻のエーメ(エリザベス・ドパルデュー)と娘のマノン(エルネスティーヌ・マズローナ)を伴って、やって来た。カモワンの土地の泉はパペによって隠され、新しい方式の農業を始めたジャンには知られぬままにいた。元収税吏のジャンは農業を本で学び、そんな彼に協力する村の人はいなかった。

映画.comより引用

独身貴族の農業生活

独身貴族であるセザールは、後継のために甥のウゴランの面倒をみるのだが、彼もまた結婚よりもカーネーション栽培の方が重要だと考える人であった。想像とはかなり異なる作品であり、人間のドロドロした関係性よりも美しい大地での農業描写にかなりの時間を費やしている。水源が映画の中で最も重要な要素となっており、井戸を掘る、近所の人に水を分け与える、雨乞いをするといったアクションを通じて人と人とが繋がる様子がリアルに描かれている。特に、水源が危機的状況になると、科学よりも祈りの方が優先され、それが人間関係を狂わすといった描写もあり興味深い。

映画的演出でいえば、長らくカーネーション栽培に夢中だったウゴランが、段々と恋愛に興味を持ち始め、ヒロインに求愛をするのだが心の差が生じてしまっている様子を崖での高低差で表現している。それ以外が基本的に美しい陽光の中で農業を捉えるといった感じなので、『ポトフ 美食家と料理人』に近い作品だと感じた。ただ、流石に4時間農業を中心とするゆったりとした人間ドラマは退屈に感じるところも多く、ハマらなかった作品である。