『Afire』家事を投げ出すクズ男に迫る火事の脅威

Afire(2023)
Roter Himmel

監督:クリスティアン・ペッツォルト
出演:パウラ・ベーア、マティアス・ブラント、ヨナス・ダスラー、トーマス・シューベルトetc

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

第73回ベルリン国際映画祭にて審査員グランプリを受賞したクリスティアン・ペッツォルト新作『Afire』を観た。映画監督頻出のテーマであるスランプものであった。

『Afire』あらすじ

A group of friends are in a holiday home by the Baltic Sea where emotions run high as the parched forest around them catches fire.
訳:バルト海沿いの別荘にいる友人たち。周囲の乾燥した森が火事になり、感情が高ぶる。

IMDbより引用

家事を投げ出すクズ男に迫る火事の脅威

作家の男が友人と共に別荘にやってくる。しかし、そこに先客がいた。作家はクズ男であり「今、忙しいから」と家事を友人に押し付けている。しかし進捗は芳しくなく、サボりまくっている。プライドが高い彼は、友人の気配を感じるとサッと執筆している風に装うがバレバレである。そんなクズ男のバカンス映画だ。この手の映画は結構好きである。クズ男の情けなさが、ヨーロッパ特有のバカンスのアンニュイな空気感に包まれて、実際に目の前にいたら不快に思うものの、何処か滑稽で楽しめてしまうところがある。本作も同様に、クズ男がうんうん執筆が進まずハリボテのプライドを魅せつける様子に笑えてくる。しかし、そんな彼は同居人の女に慰められ始めてから雲行きが怪しくなる。めっちゃ慰められているじゃんと。2023年のテーマが慰められるために存在する女性像批判にあるため、この描写がかなりノイズに感じてしまった。また、『水を抱く女』では水の幻想的な要素が効果的に使われていたが、今回における火と水のコントラストはイマイチピンと来るものがなく、結果としてまあまあな作品に留まってしまった。

※MUBIより画像引用