ハタリ!(1962)
HATARI!
監督:ハワード・ホークス
出演:ジョン・ウェイン、エルザ・マルティネリ、ハーディ・クリューガー、レッド・バトンズetc
評価:80点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
カイエ・デュ・シネマベストに選出されたハワード・ホークス『ハタリ!』をAmazon Prime Videoで見つけたので観た。ハワード・ホークスは『男性の好きなスポーツ』をはじめ、カラー時代の方が面白いと思っているのだが、改めてそれを感じさせる一本であった。
『ハタリ!』あらすじ
東アフリカのモメラ野獣ファームは、世界の動物園のために野生動物を生け捕りにするのが仕事だ。所長が犀に殺されて後を継いだ一人娘のブランディを、リーダー格のショーンを中心とした熟練ハンターたちが助けていた。そこにスイスから女性カメラマンが取材に来て……。タイトルの「ハタリ!」とはスワヒリ語で「危険!」の意味。
野生VS野生、世紀の対決
男たちが戦車のようなゴツい車に乗りながら、双眼鏡で獲物を探す。11時の方向に標的・サイがいると分かれば、すぐさま車を走らせる。二手に分かれ、サイを追い込む。その中で「インディアン」が怪我をしてしまう。ミッション失敗だ。インディアンの回復を待つ男たちの前に、一人のスカしたフランス人が現れる。そこから粋な会話が展開される。哀しみに暮れる男たちの前に現れたフランス人は「俺を雇え」と図々しく言い放ち、殴り合いの喧嘩となる。そこへ医者が現れ、インディアンは輸血が必要だが、その血液は珍しい型だからもうダメだと嘆く。「気が早いぜ旦那!俺、その血液を持っているぞ」とフランス人が語る。円満解決する中で、医者が「お願いしていいか、君たち、うるさいから帰ってくれ」と懇願し、寸劇が終わる。
本作はバカンス映画ばりに無軌道であるが、動物を狩るために団結していく男、それに負けんじと加勢していく女たちのアンサンブルが素晴らしい。動物ハントでは、車が横転したりドリフトしながら追跡する様子をドリフトしながらカメラが捉える。ひとつひとつがクールであり、なおかつ本物の動物相手にしている緊迫感がある。実際にクライマックスのサイ戦では、一度捕獲したサイが脱走し再び激しい戦闘に発展する怖さがある。サイも逃げるだけではなく、突進してくるので、今では全く撮影できないし、CGでは出せないようなスリルがそこにある。休息パートでは、男のヘタクソなピアノに対して「私に任せな」と自由な旋律を披露。それが空間を支配し、男どもがワラワラと集まってくる面白さがある。
他にもミサイルで木を破壊し、サルを捕獲する。ゾウと女の追いかけっこなどといった様々な茶番が映画を埋めていき、豊かな作品に仕上がっていた。
※MUBIより画像引用