【東京国際映画祭】『開拓者たち』マカロニウエスタンで南米史を撃つ

開拓者たち(2023)
原題:Los colonos
英題:The Settlers

監督:フェリペ・ガルベス
出演:カミロ・アランシビア、マーク・スタンリー、ベンジャミン・ウェストフォールetc

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

第36回東京国際映画祭コンペティションに出品されたチリ映画『開拓者たち』を観た。途中まで面白かったのだが、終盤が蛇足に感じる作品であった。

『開拓者たち』あらすじ

20世紀初頭のパタゴニア地方を舞台に、先住民を殺害することを目的として旅する白人のグループの行動を、白人と先住民の間に生まれた若者の目を通して描く。チリの歴史の中で埋もれていた事件に光を当てた作品。

※第36回東京国際映画祭より引用

マカロニウエスタンで南米史を撃つ

20世紀パタゴニアは、ヨーロッパからの移住者たちによって領土争いが行われていた。領土の主は先住民を制圧し、柵を設けることで自分達の領土であることを主張していた。とある軍人が命令を受けて先住民を殺害するミッションを与えられる。お供の2人を携え、南米の地を冒険していくのだが、途中でスコットランド人の一行と対峙する。本作はマカロニウエスタン、つまりジャンル映画の皮を被りながら南米侵略の歴史を批判的に描こうとした意欲作である。物語構成が歪であり、前半は王道マカロニウエスタンのような強烈な暴力描写を持つアクションに仕上がっている。しかし、突然映画は7年後にワープし、密室劇となる。恐らく、フェリペ・ガルベス監督はクエンティン・タランティーノ『ジャンゴ 繋がれざる者』の構成を意識したのだろう。会話による一触即発の緊迫感の醸し出し方はタランティーノ譲りだったりする。しかしながら、後半の密室劇があまりに唐突かつ、前半までのバキバキに決まった色彩構図、魅力的な音質に反して緩慢なものとなっており退屈に感じてしまった。とはいえ、演出力でかなり観応えのある作品だったため、フェリペ・ガルベス監督は今後カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で暴れること間違いなしでしょう。

※映画.comより画像引用