西湖畔に生きる(2023)
原題:草木人间
英題:Dwelling by the West Lake
監督:グー・シャオガン
出演:ウー・レイ、ジアン・チンチンetc
評価:95点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
『春江水暖』のグー・シャオガン第二章が第36回東京国際映画祭に降臨!前作は年間ベストに入れるぐらいの作品だったので今回も期待して観たのだが、いい意味で裏切られると共にグー・シャオガン監督の作家性を見出した。
『西湖畔に生きる』あらすじ
中国緑茶の産地として有名な西湖の沿岸に暮らす母親と息子の関係を軸に、経済環境の変化の中で揺れるひとつの家族の姿を美しい風景の中に描く。デビュー作『春江水暖〜しゅんこうすいだん』(19)で世界を感動させたグー・シャオガンの監督第2作。
※第36回東京国際映画祭サイトより引用
グー・シャオガン、スピリチュアルなスコセッシ説
今回は第二章とはいえ、前作から全くもってテイストが異なっている。つまるところ、中国版アムウェイにのめり込んでしまう母親を救おうとする青年の話なのだ。序盤こそ、前作に近いスピリチュアルな世界、中国の世界遺産である西湖の中で詩的な世界を、風味豊かなライティングで描いていくのだが、突然『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のようなビジネスのためなら人を裏切るのが正義的闇社会ものへと発展していく。ここでハッと思い出す。『春江水暖』もなんだかんだいって、飲食店にマフィアが乱入し大惨事になる話ではなかったか?つまりグー・シャオガンは中国のマーティン・スコセッシといっても過言ではないのだ。スコセッシの新作『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』がただただ長いだけの駄作であったのに対し、こっちはオカン役の迫真の顔芸とスピリチュアル要素の塩梅が面白過ぎる味わい深い作品となっており、私の観たかったスコセッシ映画をまさか東京国際映画祭で観られるとはという不意打ちもあり、年間ベスト級の満足感があった。日本公開するだろうし、この映画に驚いてほしいのでこれ以上は書かない。
第三章にも期待である。
※映画.comより画像引用