GAMA/それはとにかくまぶしい(2023)
監督:小田香、波田野州平
山形国際ドキュメンタリー映画祭で小田香『GAMA』と波田野州平『それはとにかくまぶしい』を観た。4年前と比べると明らかに来場者が増えており、しかも10~20代の方を多く見かけた。そのため、上映作品も立ち見、満席が出る回が続出し、今回の上映は2回とも盛況であった。4年ぶりのリアル開催であったが大成功のようで嬉しく思う。早速2作品について感想を書いていく。
『GAMA』概要
沖縄戦で多くの住民が命を落とした自然洞窟「ガマ」の中で、平和の語り部としてガイドを務める男性。その傍らに佇む青い服の女性が、現代と過去の交差を表現する。
『それはとにかくまぶしい』あらすじ
「親愛なる友達のみんなへ。」家族と過ごす一年間の日記。どこにでもある日々の小さな煌めきの断片は、次第に、どこにもない不思議な景色をつくりあげる。
※山形国際ドキュメンタリー映画祭サイトより引用
ガマの中心で歴史を語る/感傷的な空気の中で
小田香監督といえば『セノーテ』の印象が強いが、今回の『GAMA』ではスタイルをガラリと変えてきた。対話を重視しているとのことでクロード・ランズマン方式、我々の脳内にヴィジョンを浮かべるタイプの作品となっている。
沖縄のガマの中で語り部であるお爺さんが戦時中の凄惨な記憶を淡々と語っていき、ガマがそれを反響する。独特なアプローチを取っている。個人的に、やるなら一貫してガマの中でのみ撮影した方がコンセプトが強く伝わると思っていたのだが、割と草原で撮り始めるといった好みのヴィジュアルの誘惑に負けてしまった印象が強かった。
『それはとにかくまぶしい』は、怒涛のように赤子や美しい風景を手繰り寄せていく映像詩であった。この手の映画を語る言葉を持ち合わせていないのだが、非常に美しい作品だったなと思う。