『カタコンベ』実際に呪われたことがある人が観てみると……

カタコンベ(2007)
CATACOMBS

監督:トム・コーカー、デヴィッド・エリオット
出演:シャニン・ソサモン、アレシア・ムーア、ラデュ・アンドレイ・ミク、ケイン・マノーリetc

評価:30点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

みなさんは「カタコンベ」をご存知だろうか?ヨーロッパにある地下墓地のことである。特にフランスにあるカタコンブ・ド・パリが有名であり、観光スポットとして人気がある。カタコンブ・ド・パリはかつて、人口増加により死体埋葬に困ったパリが、中央集団埋葬墓地として死体を押し込んだ場所。私は高校時代にひとり旅で行ったことがある。そして呪われた。当時の私は幽霊など信じていなかったので、ホラー映画にて序盤に殺されそうなパンクヘアーの兄ちゃんたちとウェイウェイ盛り上がりながらカタコンベの深淵に入っていった。カピバラさんのぬいぐるみを髑髏に突っ込みながら写真を撮っていたら、急に腹痛に見舞われ、1kmにも及ぶ闇の迷宮を彷徨った。なんとか脱出すると、フッと腹痛が収まった。しかし、これは序章であった。その後の旅行は大雨が襲いかかる呪いにかかってしまったのだ。本気で自分を殺す勢いのハリケーンに襲われることも二、三度あった。雨が降らないだろうモロッコを旅行先に選ぶも、機長が病気になり飛行機が飛ばず、次の日のフライトに延期となるも、未曾有の大雪に見舞われ、なんとか飛行機は飛び立つも燃料切れでパキスタンに不時着する大惨事となった。2020年に杉並区にある大宮八幡宮で成仏するまでこの呪いは続いた。そんな私がカタコンブ・ド・パリを扱ったホラー映画を観たらどうなるのか?検証してみた。

『カタコンベ』あらすじ

「SAW」シリーズのプロデュース陣が放つ衝撃のホラー。パリに実在する巨大地下墓地“カタコンベ”に迷い込んだアメリカ人女性の恐怖体験を描く。内気な性格のビクトリアは、ソルボンヌ大学に留学中の姉に誘われてパリを訪れる。彼女は姉に連れられ、700万体もの遺骨が眠っているという地下墓地で開かれるアンダーグラウンド・パーティーに参加することに。しかし、パーティーの途中でひとり会場の外へ迷い込んでしまい……。

映画.comより引用

実際に呪われたことがある人が観てみると……

フランスというとおしゃれなイメージがあるだろう。実際にフランス映画をみると、恍惚とした空間だったりトリコロール色が強調された場所に見えるかもしれない。しかし、実際に行ってみると、どこか冷たさを感じることがある。日本の歓楽街のように、多種多様の雑貨屋、飲食店、娯楽スポットがひしめき合っているわけではないのだ。本作は低予算ホラーのせいか、その観光の陶酔から醒めたようなありのままのパリを捉えているのが興味深い。精神衰弱気味の女が、パリについて早々にカタコンベのアングラクラブへと誘われ、そのまま迷子になる。そうはならんだろうと思う迷子っぷりなのだが、主人公の性格的にギリギリ許容としよう。肝心なホラーパートが微妙である。恐らく、実際のカタコンベライブをテキトーに撮って、あとは闇の中を彷徨う彼女の姿を撮って繋ぎ合わせたって感じの雑さである。カタコンベの迷宮感が伝わってこず、あっさりとクラブ会場へと戻って来る。それだけだと盛り上がらないから、再度会場を混乱させ、その中で彼女を気絶させ孤立を発生。流石に無茶苦茶な気がした。そして何よりも、カタコンベの悪魔の機動力がなさすぎて、弱そうに見えてしまったところが致命的だった。実際にカタコンベの悪魔に呪われた私からすると、もっと殺気が必要な気がした。とはいっても良い部分もあって、途中出会うよく分からないフランス人おっさんとの駆け引きはサスペンスとして惹き込まれた。主人公がメンヘラだけあって、簡単なフランス語だし、英語との共通点から十分推察できるであろう相手の発言を無視して、パニックになりながらも一進一退の心理的駆け引きを行う。ここが魅力的であった。

※映画.comより画像引用

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