【MUBI】『蜃気楼 Fata Morgana』ヘルツォークのまだ見ぬ世界に対する渇望

蜃気楼(1971)
Fata Morgana

監督:ヴェルナー・ヘルツォーク
出演:ヴォルフガング・フォン・ウンゲルン=シュテルンベルク、シュームス・アイリアム・グレッジル、Eugen Des Montagnes etc

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

最近、リモートワークが多くなってきたので、昼休みにサクッと観られる作品をMUBIで探している。そんな中、ヴェルナー・ヘルツォークのドキュメンタリー『蜃気楼』を見つけた。暑い夏にぴったりな暑いドキュメンタリーであった。

『蜃気楼』概要

Shot under extreme conditions and inspired by Mayan creation theory, the film contemplates the illusion of reality and the possibility of capturing for the camera something which is not there. It is about the mirages of nature—and the nature of mirage.
訳:極限状態で撮影され、マヤの創造理論にインスパイアされたこの映画は、現実の幻想と、そこにないものをカメラに収める可能性について考察している。自然の蜃気楼、そして蜃気楼の本質について。

MUBIより引用

ヘルツォークのまだ見ぬ世界に対する渇望

人類はカメラを持ったことで自分が経験した異様な情景をそのまま収めて世界に伝えることが可能となった。『極北のナヌーク』を始めとし、映画史においても秘境に足を運び、そこでの生き様をカメラに収めようとする作品が何本も作られてきた。ヴェルナー・ヘルツォーク監督は『アギーレ/神の怒り』や『フィツカラルド』など、闇の奥的に秘境へ足を運ぶ作品を幾つか撮っている。そんな彼が砂漠に赴き、極限状態の世界を捉えることは必然だったように思える。荒廃とした砂漠に不時着した飛行機が残されている。その光景はどこか美しいものがある。茹だるように暑く蜃気楼が立ち込めるが、それは神秘的だったりする。カラーの時代となり、より現実のものとして地球の極限を捉えることができるようになった。人類の好奇心が捉えた情景は、観る者に好奇心を引き起こすものとなっている。昼休みに観て、ちょっと海外に行きたくなったのであった。

※MUBIより画像引用