『UNREST』この世にはさまざまな時間が流れている

UNREST(2022)
原題:Unrueh

監督:Cyril Schäublin
出演:Valentin Merz,Clara Gostynski,Alexei Evstratov etc

評価:80点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

カイエ・デュ・シネマが2023年のベストに入れそうな『UNREST』がMUBIに来ていたので観てみた。これが不思議な映画であった。

『UNREST』あらすじ

New technologies are transforming a 19th-century watchmaking town in Switzerland. Josephine, a young factory worker, produces the unrest wheel, swinging in the heart of the mechanical watch. Exposed to new ways of organizing money, time and labor, she gets involved with the local anarchist movement.
訳:19世紀のスイスの時計製造の町が、新しい技術によって変貌を遂げつつある。若い工場労働者のジョゼフィーヌは、機械式時計の心臓部であるアンレストホイールを製造している。お金、時間、労働力を組織する新しい方法に触れた彼女は、地元のアナキスト運動に参加する。

MUBIより引用

この世にはさまざまな時間が流れている

本作は時計工場を軸に、この世の「時」を切り取ろうとしている。19世紀、写真を撮る時には静止した時を作る必要がある。時計を組み立てる時、チクタクチクタクと忙しなく動く小さな機械や工場の大きな機械運動の中で労働者が繊細な組み立て工程に従事する。労働者自身が、時計の部品のようにシステマティックな時に押し込められている。映画は豊かな時間配分の中で、窮屈そうな労働者像を捉え、そこから労働組合の活動へと着目する。チャップリンが『モダン・タイムス』で機械的に動く労働者を皮肉ることで、社会システムの問題を指摘したが、『UNREST』は時間の観点から掘り下げていく内容だ。このアプローチは意外と観られないものである。時計の組み立て工程が魅力的に撮られていることもあり、この世界観に惹き込まれた。

※IMDbより画像引用