【日本未公開映画】『The Nile Hilton Incident』清掃員は見た

The Nile Hilton Incident(2017)

監督:タリック・サレー
出演:ファレス・ファレス、マリ・マレック、ヤセル・アリ・マーハー、スリマヌ・ダジ、アーメッド・セリムetc

評価:75点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

『Boy from Heaven』がカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出されて注目された監督タリック・サレー。彼の過去作『The Nile Hilton Incident』は定期的にMUBIで配信されている。ヴィジュアルがカッコよかったので観た。どうやら彼はサスペンスを撮るのに長けた方であることが分かった。

『The Nile Hilton Incident』あらすじ

Weeks before the Egyptian revolution, Noredin, a police officer in Cairo’s corrupt system, investigates the murder of a singer at a hotel club. What seems to be a crime of passion turns into something that concerns the elite of Egypt, forcing Noredin to break the rules in order to obtain justice.
訳:エジプト革命の数週間前、カイロの腐敗したシステムに属する警察官ノレディンは、ホテルのクラブで起きた歌手の殺人事件を捜査する。情熱的な犯行と思われたこの事件は、エジプトのエリートに関わる事件へと発展し、ノレディンは正義を貫くため、ルールを破ることを余儀なくされる。

MUBIより引用

清掃員は見た

ホテルクラブで起きた殺人事件を警察側/清掃員側から描いていくサスペンス映画。警察側は、ネットカフェで張り込みを行ったり、茹だるように暑苦しい職場、禍々しい空気感が漂う空間を渡り歩きながら、一歩一歩這うようにして犯人に近づいていく。それに対して清掃員側は犯人、犯罪の方からやってくる。彼女のサスペンスシーンは手汗握るものがありとてつもなく怖い。例えば、清掃中に物音がする。スッと彼女は窪みに隠れる。すると、暗殺者らしきものが廊下に現れる。しかも彼女の方に近づいてくるのだ。動かなくても動いてもバレるような極限状態で、彼女は僅かな死角を利用して逃げ切る。彼女は常に死と宙吊りな状態に晒されている。ふと鏡を見ると、人が殺されている瞬間を目撃する。衝撃的な光景に立ちすくんでしまっては自分も殺されてしまうであろう。だから、無理矢理自分を奮い立たせ、階段を昇っていく。警察と合流しても油断できず、車の中に暗殺者が入り込んでくる。階段、車、死角を巧みに使ったアクションにひたすら痺れたのであった。

※MUBIより画像引用