『ワイルド・スピード(2001)』なりたい自分になれる世界では性別も人種も関係ない

ワイルド・スピード(2001)
The Fast and the Furious

監督:ロブ・コーエン
出演:ヴィン・ディーゼル、ポール・ウォーカー、ミシェル・ロドリゲス、ジョーダナ・ブリュースター、リック・ユーン、チャド・リンドバーグ、ジョニー・ストロング、マット・シュルツ、テッド・レヴィン、ジャ・ルールetc

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

シリーズ最終章『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』が公開されたので、中学以来15年ぶりに1作目を観てみた。当時は地元の不良がイキリながら熱弁していたこともあり、過小評価していた作品だが、今観ると自然な形で多様性が描かれている作品であり良いなと思った。

『ワイルド・スピード』あらすじ

ロサンゼルスを車で自在に走り回るドミニク(ヴィン・ディーゼル)は、夜な夜なレースに挑んでくる連中を相手に、一度のレースで一万ドルを稼ぐ凄腕。そんな彼に、謎めいた男ブライアン(ポール・ウォーカー)がレースに挑むことになる。実はブライアンは、トラックの連続ジャック事件を極秘に追う警官だった。

映画.comより引用

なりたい自分になれる世界では性別も人種も関係ない

潜入捜査系バディものでストリートレースを扱った作品と聞けば、男社会なイメージが強いが、本作を観ると性別も国籍も関係ないことが分かる。家事も男が積極的に参加し、レースに強ければ女だろうと、集落の中ではマイノリティな白人であろうと関係なかったりする。一般的な属性よりも強いか、味方かどうかだけで判定されるのだ。これは恐らく、車の改造を通じてなりたい自分になれる。与えられた肉体から解放され、チューニング次第で屈強な男と対等な関係になれるところに由来するのではないだろうか。どこかメタバースの住人やVTuberに近い直接内面でコミュニケーションを取るような関係性があり、それが自然な多様性を生んでいるように思える。

1作目なので、空を飛んだり、車に金庫をくくりつけて走ったりはしないが、夜の場面での車の魅せ方が冴え渡っている。レースで盛り上がっている最中に警察の気配を感じる。するとレーサーたちは愛車に乗り、蜘蛛の子散らすように去っていく。十字路をきれいに分かれて散っていく車。それを街灯が照らし、その反射で派手な車体がネオンのように光る場面は美しく、シリーズの中で一番、車の群れを描けていると感じた。

また、セリフも粋だったりして上司警部が「時間が欲しけりゃ、雑誌の『TIME』を買え!」と言う場面は感動を覚えた。

※映画.comより画像引用