セールス・ガールの考現学(2021)
The Sales Girl
監督:ジャンチブドルジ・センゲドルジ
出演:バヤルツェツェグ・バヤルジャルガル、エンフトール・オィドブジャムツetc
評価:80点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
大阪アジアン映画祭で好評だったモンゴル映画が日本一般公開された。モンゴル映画で舞台は大人のオモチャ屋という変わった内容の作品。大人のオモチャ屋と聞くと、下ネタが多い作品なのかなと思う。確かに、下ネタはあれども下品さとは距離を置いた不思議な作品であった。
『セールス・ガールの考現学』あらすじ
アダルトグッズショップで働くことになった女性の成長をユーモアたっぷりに描き、第20回ニューヨーク・アジアン・フィルム・フェスティバルでグランプリに輝いたモンゴル映画。
モンゴルの首都ウランバートルで家族と暮らしながら大学で原子工学を学ぶサロールは、ひょんなことから怪しげなアダルトグッズショップでアルバイトすることに。人生経験豊富な女性オーナーのカティアが営むその店には大人のオモチャが所せましと並んでおり、毎日さまざまなタイプの客たちがやって来る。サロールはカティアや客たちとの交流を通して、自分らしく生きることを学んでいく。
オーディションで300人の中から選ばれたバヤルツェツェグ・バヤルジャルガルが映画デビュー作にして主演を務め、モンゴルを代表するベテラン俳優エンフトール・オィドブジャムツがオーナーのカティアを演じた。
モンゴル、大人のオモチャ屋モニタリング
バナナで滑って転び、女は怪我をする。友人のサロール(バヤルツェツェグ・バヤルジャルガル)は彼女の代わりに大人のオモチャ屋でアルバイトをすることになる。店番をしたり、薬を配達する様子をオフビートに描く。恥じらいを抱きながらやってくる客に対して、淡々と説明をするサロール。しかし、彼女自信、大人のオモチャ事情に疎いため、 バイブ音をスマホの着信音と勘違いして手元が焦るといったクスりとさせられる笑いが続く。
サロールは冷静な眼差しで人生を歩んでいるのだが、意外にもお茶目な性格を持っており、それがこの映画のスパイスになっている。例えば、仲が悪い両親のために、精力剤を紅茶に混ぜたり、バスの窓にゴム製のイチモツをつけたりとか。人間は多様な側面を持っており、映画はその多面性をカメラに収めていく。同時に個性的な登場人物が多数登場し、コメディながらも現実に近い多様性を生み出す。ロシア語が分かる者、俳優志望、先生ながら大人のオモチャ屋に通う者。そういった人々を嘲笑することなく包み込むような作品となっており、大人のオモチャ屋が舞台ながらもユーモアのバランス感覚に優れた逸品に仕上がっていた。
徒然なるままに描かれたオフビートコメディとして気楽に楽しめる作品といえよう。
※映画.comより画像引用