Aftersun(2022)
監督:シャーロット・ウェルス
出演:ポール・メスカル、フランキー・コリオ、セリア・ロウルソン・ホール、ケイリー・コールマン、サリー・メッシャムetc
評価:60点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
MUBI界隈で昨年12月あたりに話題となっていた『Aftersun』を観た。予告編を観る限り面白そうなバカンス映画であった。実際に観てみると、面白くもあり複雑な気持ちにもなる作品であった。尚、アメリカでの配給はA24であり納得がいく一癖あるバカンス映画であった。
『Aftersun』あらすじ
At a fading vacation resort, 11-year-old Sophie treasures rare time together with her loving and idealistic father, Calum. Twenty years later, Sophie’s tender recollections of their last holiday become a powerful and heartrending portrait of their relationship.
訳:11歳のソフィーは、色あせたリゾート地で、愛情深く理想主義的な父親カルムと過ごす貴重な時間を大切に思っていた。20年後、ソフィが語る最後の休暇の思い出は、二人の関係を力強く、そして切なく描写している。
バカンスでパパの心を癒すの
本作は、11歳の少女ソフィーの目線からバカンスを捉えた作品だ。ビールを飲みながらビリヤードに励む者、バイクゲームに跨っていたら、同い年ぐらいの男の子がナンパのように現れて一緒にレースするといった様子をアンニュイとしたタッチで描く。物語のキーとしてVHSタッチの荒い映像が挿入され、それが映画の終盤で意味を帯びてくる仕組みとなっている。要するに、ソフィーにとっての思い出の夏をぎゅっと濃縮した作品になっているのだ。青を基調とした世界の切り取りかた。夜のダンスシーンにおける選曲のエモーショナルな感触は、人によってはハマるだろう。私も大好きだ。しかし、それだけの映画にも見えてしまった。
VHSタッチを上手く使った映画『Tilva Rosh』をMUBIが配信しているせいもあるだろう。エモさでゴリ押していないかといった疑惑がまずあった。そして、この映画は父親の苦悩を少女が察して包み込む内容になっているのだが、よくある男を癒す存在としての女性像を少女に転嫁しているような気がして、しかもこの少女が異様に察しが良かったりするからグロテスクな映画に見えてしまった。なので画と音楽は乗れても、物語面で引っかかるところが多かった作品だと感じた。日本公開はしてほしいし、映画館推奨型の映画ではあるが手放しに誉められない作品であった。
※MUBIより画像引用