危険な関係(1988)
DANGEROUS LIAISONS
監督:スティーヴン・フリアーズ
出演:グレン・クローズ、ジョン・マルコヴィッチ、ミシェル・ファイファー、スウージー・カーツ、キアヌ・リーヴス、ミルドレッド・ナトウィック、ユマ・サーマン、ピーター・キャパルディ、ヴァレリー・ゴーガン、フランソワ・モンタギュetc
評価:55点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
「死ぬまでに観たい映画1001本」掲載の文芸映画『危険な関係』を観た。ラクロの同名小説の映画化で、ロジェ・ヴァディムやホ・ジノ監督によっても映画化されているが、掲載されているのは『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』のスティーヴン・フリアーズ版である。
『危険な関係(1988)』あらすじ
18世紀、フランス革命直前の退廃ムード漂うパリ社交界を舞台に、貴族たちの愛の駆け引きをスキャンダラスに描く。社交界で幅を利かせるメルトイユ公爵夫人は、ある日愛人が若い娘と結婚するという噂を耳にする。彼女はかつての愛人バルモン子爵を呼び寄せ、ある依頼をする……。禁断の書と呼ばれたラクロの小説を、イギリス出身のスティーブン・フリアーズ監督が、ジョン・マルコビッチ、グレン・クローズ等豪華キャストで映画化。
バレるかバレないか
「危険な関係」といえば、社交界でのドロドロ政治を描いた作品で、吹聴や盗み聞きといったアクションを通じて、こじれていく様が魅力的な作品だ。スティーヴン・フリアーズは視覚的にどのようにこの攻防を描くかに着目した。そのため、ラクロの同名小説が苦手でも視覚的に面白い演出が多数観られたりする。例えば、少し離れた陰から覗き見るようにしてジェスチャーを送り込む場面がある。ターゲットの向きが変わったら、一発で関係性がバレてしまうスリルがそこで描かれている。物陰を使った、画の奥行き描写が手汗握るサスペンスを盛り上げている。また、手紙を手の裏にヒラヒラさせながら、サロン的空間を徘徊する場面では、事情がわかっていない者と分かっている者と特定の人物に分かってほしいと思う者が一つの空間に集まっているスリルが描かれている。観客は神の目線から、全てを知ることができるのでニヤリとさせられる。また、コミカルな演出もある。ストーカーのように森までついてくる男がいるのだが、途中で気がついて威嚇射撃する。滑稽な追跡者という存在を強調する描写となっており面白かった。スティーヴン・フリアーズは堅実な画作り、演出をするので退屈ながらも映像演出の教材として面白い監督と言える。
※IMDbより画像引用