ZERRE(2013)
監督:Erdem Tepegoz
出演:Jale Arikan, Rüçhan Çaliskur,
Özay Fecht etc
評価:65点
自宅にあったトルコ映画DVD-BOXから観るトルコ映画の魅力。第二話は「ZERRE」という作品。トルコ語で「粒子」というタイトル。全くストーリーを調べずに観たのだが、果たしてどんなものなのだろうか…
「ZERRE」あらすじ
Zeynepは衣類工場で働いている。ある日彼女は、突然工場をクビになってしまう。娘を養わなければならない、彼女は香り袋を売ったりしながらサバイバル生活をしなくてはならなくなる。やがて、肉体労働の仕事にありつくが…トルコ版ダルデンヌ映画
「ロゼッタ」や「サンドラの週末」など徹底したリアリズムで、どん底の生活を映し出すベルギーの監督ダルデンヌ兄弟がいる。この「ZERRE」はダルデンヌ兄弟の作品を思わせる映画でした。
工場で働いていたら、突然「お前はクビだ!出てけ!」と抵抗するまもなく追い出されてしまう。住んでいるアパートも、家主から「お前は出てけ!」と玄関扉を破壊されてしまう不条理。
最初は、自分で「香り袋」を売る商売をしたり、友人を頼ったりするが、娘を養うのは至難の業。街中のヤバそうな人が、「バイト募集」と謳っている。飛びつこうとすると、どうやら危険な仕事っぽい。でも「お前の代わりはいくらでもいる。やるのか?」と言われてしまったら後にも引けず仕事を引き受けてしまう。ぼろぼろの空間、もはや住むレベルではない場所に同じような境遇の女性が集められ、日中は倉庫で重い袋を運搬する肉体労働に励む…
とことんどん底まで墜ちていく、女性に観ていて悲しくなった。この手の作品は沢山あり、今となってはマンネリ化したテーマなのだが、本作を観ていて妙な新鮮さも感じた。それは、主人公のZeynepは常に笑顔でいようとするところに現れている。通常、この手の映画の主人公は険しい顔をしているのだが、本作は基本的に笑顔で乗り切ろうとしている。周りの友人などに心配されても、笑顔で「新しい仕事見つけて頑張る!」という風にとにかく前向きなのです。それだけに、笑顔の裏に見え隠れする哀愁は本当に切なく辛いモノがありました。
まさに、「粒子」というタイトル通り、この世界の片隅に粒子のようなちっぽけな存在でも懸命に生きようとする人の映画でした。
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