コンビニエンスストア(2022)
Convenience Store
監督:Mikhail Borodin
出演:ZUKHARA SANSYZBAY,LYUDMILA VASILYEVA,TOLIBZHON SULEYMANOV etc
評価:70点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
第72回ベルリン国際映画祭パノラマ部門に出品され、C.I.C.A.E. Awardを受賞したMikhail Borodinデビュー作『Convenience Store』を観た。これが壮絶な内容であった。
※第35回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門にて上映決定。
『コンビニエンスストア』あらすじ
What could be more mundane than going to convenience store after work? There are many such shops in Moscow sleeping areas. These are tiny rooms hidden in the basements of concrete buildings. Almost all workers there are migrants from Central Asia. And some of them are in slavery.
訳:仕事帰りにコンビニに行くことほど平凡なことはないだろう。モスクワのスリーピングエリアには、そんな店がたくさんある。コンクリートビルの地下にひっそりとある小さな部屋である。そこで働くのは、ほとんどが中央アジアからの出稼ぎ労働者である。そして、彼らの中には、奴隷状態にある者もいる。
コンビニというプランテーション
モスクワ郊外のコンビニエンスストア「プロデュクティ24」。ここではウズベキスタンから来た移民が住み込みで働いている。妊娠していようが、昼夜働かされている。逃げようものなら袋叩きにされ、足に釘が撃ち込まれられる。警察もその状況を黙認している。本作はコンビニパートとウズベキスタンの綿農園パートに分かれている。コンビニパートの閉塞感は、観ている方も真綿を詰められているような苦しさを感じる。客は横暴な態度で酒を求める。「じゃあな」とウォッカ瓶を持って去ろうとするが、金が足りない。妊婦はヨロヨロしながら、金を求めるが、強く払い除けられてしまう。外にそのまま出ることはなく、すぐさま店内に呼び戻される。コンビニの随所にある翳りからは他の移民労働者の手がニョキッと伸びており、狭い中鮨詰め状態となりながら、ただただ労働者として搾取されていく様子が描かれる。
これが後半になりウズベキスタンの綿農園になる。陽光が差し込んでおりコンビニと打って変わって美しい画が広がっているが、ここでも労働搾取が描かれる。闇と光の画を並べ、そこから共通する闇を導き出しているのが新鮮であり、コンビニがいかに現代のプランテーションであるかに説得力がある。
本作を観ると、この題材こそ日本で描くべきではないだろうか。今やコンビニへ行くと、外国人労働者が流暢な日本語を使いながら汗水垂らしながら働いている。日本人ですら膨大なオペレーションをこなすコンビニバイトは過酷だ。それを外国語を使って接客する移民労働者。この壮絶さはなかなか映画として描かれ、問題に光を当てられることはない。これは日本でも紹介されてほしいなと感じた。