ベイビー・ブローカー(2022)
原題:브로커
英題:Broker
監督:是枝裕和
出演:ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、ペ・ドゥナ、IU、イ・ジュヨンetc
評価:20点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
カンヌ国際映画祭にて受賞に導く存在であるソン・ガンホがついに、第75回カンヌ国際映画祭で男優賞を受賞した。監督は『万引き家族』でパルム・ドームを勝ち取った是枝裕和。今回は全編韓国ロケで行うロードムービーとのことで観に行ったのだが、これが実にぼんやりとした映画であった。
『ベイビー・ブローカー』あらすじ
「万引き家族」の是枝裕和監督が、「パラサイト 半地下の家族」の名優ソン・ガンホを主演に初めて手がけた韓国映画。子どもを育てられない人が匿名で赤ちゃんを置いていく「赤ちゃんポスト(ベイビー・ボックス)」を介して出会った人々が織り成す物語を、オリジナル脚本で描く。古びたクリーニング店を営みながらも借金に追われるサンヒョンと、赤ちゃんポストのある施設で働く児童養護施設出身のドンスには、「ベイビー・ブローカー」という裏稼業があった。ある土砂降りの雨の晩、2人は若い女ソヨンが赤ちゃんポストに預けた赤ん坊をこっそりと連れ去る。しかし、翌日思い直して戻ってきたソヨンが、赤ん坊が居ないことに気づいて警察に通報しようとしたため、2人は仕方なく赤ちゃんを連れ出したことを白状する。「赤ちゃんを育ててくれる家族を見つけようとしていた」という言い訳にあきれるソヨンだが、成り行きから彼らと共に養父母探しの旅に出ることに。一方、サンヒョンとドンスを検挙するため尾行を続けていた刑事のスジンとイは、決定的な証拠をつかもうと彼らの後を追うが……。ソン・ガンホのほか、「義兄弟 SECRET REUNION」でもソンと共演したカン・ドンウォン、2009年に是枝監督の「空気人形」に主演したペ・ドゥナら韓国の実力派キャストが集結。2022年・第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、主演のソン・ガンホが韓国人俳優初の男優賞を受賞。また、人間の内面を豊かに描いた作品に贈られるエキュメニカル審査員賞も受賞した。
捨てるなら産まなきゃよかったじゃんという暴力
雨の中、ある女性が教会のポスト前に赤子を置いていく。その赤子を借金返済のため、売り飛ばすブローカーが拾う。しかし、ヒョこんなことからその女性がブローカーを突き止めてしまったことから一緒に行動を共にする。赤子を売るにしても、そのまま海外へ転売する人もいる。彼女は「ちゃんと育ててくれる人探してほしい」と懇願し、長旅が始まる。そんなブローカーに次から次へと何かを抱えた人が集まり、ある種の擬似家族が形成されていく。
冒頭の時点で、警察が女性を保護しようとする場面があり、その後もずっとブローカーを追って追跡するのだが、どうも動きがもっさりとしており、至近距離にいるのに、全然捕まえられないもどかしさがある。ブローカーの逃げ足が速いならわかるが、常に何か食べながらダラダラ追っているため、捕まえる気があるのかと疑問を抱く。そしてブローカーサイドだが、男優賞獲ったソン・ガンホの演技があまり良くなかったのだ。ソン・ガンホといえば『タクシー運転手 約束は海を越えて』や『パラサイト 半地下の家族』のようにどこか胡散臭いのだが憎めない演技をする。いわば寅さんのような、松竹人情映画のような顔をしている。本作における役柄も胡散臭い路線なのだが、どこか縁起が堅くて、彼の良さが引き出せていない気がした。
映画は複数回出てくる「捨てるなら産まなきゃよかったじゃん」という言葉の暴力性や淡々と語られる赤ちゃんが転売されるビジネスの恐ろしさなど、赤ちゃんポストを取り巻く問題に切り込んでいる。だが、ストーリーテリングとして全体的に鈍重で、早々に捕まりそうなのが引き延ばされているだけに見えて退屈してしまった。
感想も残念ながらそんなに語るものがなかった。
※映画.comより画像引用