SEE FOR ME(2021)
監督:ランドール・オキタ
出演:スカイラー・ダベンポート、キム・コーツ、ジェシカ・パーカー・ケネディ、ローラ・ヴァンダーヴォート、マシュー・グーバイアetc
評価:60点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
以前、映画仲間にパワーアップした『ドント・ブリーズ』が今作られているんだと教えてもらった『SEE FOR ME』。盲目の女性が家に侵入された泥棒と戦うのだが、彼女の味方をしてくれるのがFPSゲーマーという内容。ジャンル映画ながらそのアイデアに惹かれました。遂に完成し、観る機会があったので挑戦しました。
『SEE FOR ME』あらすじ
When blind former skier Sophie cat-sits in a secluded mansion, three thieves invade for the hidden safe. Sophie’s only defense is army veteran Kelly. Kelly helps Sophie defend herself against the invaders to survive.
訳:盲目の元スキーヤー、ソフィーが人里離れた邸宅でキャットシッターをしていると、3人の泥棒が隠し金庫を狙って侵入してくる。ソフィーを守るのは退役軍人のケリーだけ。ケリーはソフィーが生き残るために、泥棒から身を守る手助けをする。
泥棒を撃退するのは盲目の女性、そしてFPSゲーマー
かつてスキー選手だったソフィー(スカイラー・ダベンポート)は病により失明した。夢を砕かれ、障がいを抱えた彼女は、家族や周囲の人間に哀れみの目を向けられるのがシャクに触る。あの頃のようになんでもできるよと、猫の面倒を診る仕事をする。彼女はお金を稼ぐために、裕福な家からついでにワインを盗み転売を働いていたりする。盲目なのに盗みができるのか?そもそも、盲目なのに猫の面倒を診ることができるのか?彼女はアプリを使っていたのだ。「See For Me」と呼ばれる、盲目の人を助けるビデオチャットアプリを使って、見知らぬ人が目となり指示を出すのだ。しかし、そう物事は簡単にいかなかったりする。ひょっとした油断で寒い外に締め出されてしまい、泥棒のように家に侵入しないといけなかったりするのだ。そんな彼女に最大の危機がやってくる。夜中に泥棒が泥棒をしに現れるのだ。物音を聞いた彼女は、修羅場を一度助けてくれたFPSゲーマーのケリー(ジェシカ・パーカー・ケネディ)と共に乗り越えようとする。
本作は、FPSゲーマーが現実の人間をコントロールして銃を撃たせたい願望から作られており、まるでヌルヌル思い通りに動かないソフィーに銃を撃たせる描写に全力を注いでいる。そう聞くと、盲目の人を作劇のコマとして利用しているだけで良くないなと思うかもしれない。本作は、欲望により当事者を軽々しく扱うことを回避している。ソフィーのコンプレックスに寄り添い、彼女がひとりでできることへの渇望を緻密に描写している。また、泥棒がソフィーに対して「盲目だから何もできないだろう」と下に見ている描写を通じてその渇望を生み出す社会の目を作り出しているのだ。
ジャンル映画でありながら、丁寧に作られており興味深い作品であった。日本でも未体験ゾーンの映画たちあたりで上映されそうな作品といえよう。
※IMDbより画像引用