HIVE(2021)
監督:Blerta Basholli
出演:Yllka Gashi、Cun Lajci、Aurita Agushi、Kumrije Hoxha、アドリアナ・マトシェetc
評価:65点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
近年、コソボ映画が密かに盛り上がってきている。第94回アカデミー賞国際長編映画賞ショートリストにコソボ映画が選出された。『HIVE』である。コソボ紛争により夫が行方不明となっている状況で、企業を目指す女性の実話に基づいた話だ。ということで観てみました。
『HIVE』あらすじ
Fahrije’s husband has been missing since the war in Kosovo. She sets up her own small business to provide for her kids, but as she fights against a patriarchal society that does not support her, she faces a crucial decision.
訳:コソボ紛争以来、夫が行方不明になっているファリェ。子供たちを養うために小さなビジネスを立ち上げるが、自分を支援してくれない家父長制の社会と戦う中で、彼女は重大な決断を迫られる。
コソボ、ミツバチの足掻き
Fahrije(Yllka Gashi)はコソボ紛争により夫が行方不明となっている。7年の時が経っても、夫の帰りを待っており、集団墓地の掘り起こし作業に忍び込み、夫の骨を探そうとするのを止められている。夫の帰りを待っているので、再婚することもせず養蜂業をしながら家族を養っている。だが、そんな生活に未来は見えない。そんな中、運転免許を取ることで新しい仕事に挑戦できるチャンスに出会う。「義父はもう75歳だ、変わることができない。」と語る彼女は、自ら変わることで未来を切り拓こうとする。運転の練習をする場面、「そのまま真っ直ぐだ」と言う教官。そして彼女の顔から見える希望の表情がこの映画を象徴していて、敷かれた別のレールを辿ることで輝ける未来を掴もうとする姿が感じ取れる。
一方で、中年女性という理由で書類手続きが難航するヒリヒリとした描写が連ねられる。目の前に現れた希望の道もいばら道なのである。ハチに刺されるようなチクチクとした痛みを抱えながら前へ進む姿は、コソボだけでなく世界の普遍的な轍を描いており、アカデミー賞の国際長編映画賞ショートリストに選出されたのは納得である。
本作は圧倒的に岩波ホールの香りが漂う作品だが、岩波ホールが閉館する今、この手の作品が日本で観られる可能性がグッと下がってしまっているのは悲しいところである。
※IMDbより画像引用