【 #死ぬまでに観たい映画1001本 】『画家とモデル』ジェリー・ルイスの2.5次元映画

画家とモデル(1955)
ARTISTS AND MODELS

監督:フランク・タシュリン
出演:ディーン・マーティン、ジェリー・ルイス、ドロシー・マローン、シャーリー・マクレーン、エヴァ・ガボール、アニタ・エクバーグ、エディ・メイホフ、ジャック・イーラムetc

評価:65点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

「死ぬまでに観たい映画1001本」掲載のジェリー・ルイス映画『画家とモデル』を観ました。「死ぬまでに観たい映画1001本」攻略に関して、原点に振り返りTSUTAYA渋谷店に行くと入手が難しい作品に出会えたりする。『甘い毒』や『キプールの記憶』といった作品を容易に入手することができるのだ。『画家とモデル』もその一本であった。

『画家とモデル』あらすじ

リック(ディーン・マーティン)はニュー・ヨークで広告デザイナーをしていたが、親友ユージーン(ジェリー・ルイス)のおかげでいつも仕事をしくじりどこに勤めても永つづきしない。ユージーンは少々頭の足りない漫画狂。或晩のことユージーンがスリラー漫画の夢を見て突然大声で叫び出す。半人半鳥の「ハゲタカ・ヴィンセント」という怪人の夢で、この怪人が不思議な“X34-R51+6=33X”という秘密の方程式を知っていた。ユージーンが余り叫び声をあげるので、おなじ下宿のベシー(シャーリー・マクレーン)とアビゲイル(ドロシー・マローン)が文句を云い出した。アビゲイルは漫画の本を書いている女流画家で、ベシーは彼女のモデルになっているのだった。ユージーンはベシーとアビゲイルの部屋へあやまりに行き、ベシーが「こうもり女」の扮装をしているのを見て、自分のスリラー漫画の夢の中の「こうもり女」があらわれたものとおもい、おどろいて逃げ帰った。翌朝リックとユージーンは漫画本の出版社をたずねるとアビゲイルに出会う。彼女はどぎつい漫画を書くのが厭になって仕事を断わりにきたのだ。リックはアビゲイルを一眼見て忘れられなくなり一緒に帰る。リックはユージーンの夢から思いついて、スリラー漫画を書き始める。アビゲイルは子供の本を書くことになり、やはりユージーンをモデルに使った。べシーは星占いからどうしてもユージーンを恋人にしなければならないと思い込み、暇さえあれば彼を追いかけるようになった。リックのスリラー漫画はヒットする。が、ユージーンが夢見たのはロケットの秘密方程式そのままだった。外国のスパイたちがこれに気づく。美しい女スパイ、ソニヤ(エヴァ・ガボール)が、リックからさらに秘密をさぐることを命ぜられた。ソニヤはリックを下宿に訪ねるがアビゲイルに邪魔されたので、こんどはユージーンをねらい舞踏会で「こうもり女」に化け、ユージーンをだまして、スパイの秘密の隠れ家へつれこんだ。リックはそこでしばられているベシーを発見し、事情を知り、ベシーと一緒にソニヤとユージーンの後を追う。リックとべシーがスパイの隠れ家へつくと、ソニヤがユージーンに眠りくすりを飲ませてスリラー漫画の夢を見させようとしているうちに、スパイたちの一団がかけつける。リックたちの命が危険にさらされたとき、連邦警察の一隊が後を追ってきてスパイ一味は一網打尽、リックとアビゲイル、ユージーンとベシーの4人はそれぞれ結婚する。

映画.comより引用

ジェリー・ルイスの2.5次元映画

工事現場、看板のデザインの最終調整中。巨大な女性の口の中にいるユージーン(ジェリー・ルイス)におい仕事をしろと発破が投げかけられる。彼は漫画に夢中だ。渋々、機械を動かすと、凄まじい吸引力で漫画が吸い込まれていく。待ってと追いかけると彼のパイプに吸い込まれてしまう。これは大変だと、機械を停止させると、粉々になった漫画が女看板の口から勢いよく吹き出し、ユージーンの吐く煙が、タバコのように彼女の口から吹き出す。それを見て眼下にいる人が、「彼女は肺が悪いのかい?」と小ボケをかます。そして、その怒涛の大惨事は、ペンキにまで波及し、白、赤、黄色のペンキがドバッと眼下をグロテスクな色に染める。ジェリー・ルイスの変幻自在な顔芸もあり漫画から飛び出した2.5次元映画になっているのだ。日本のコメディ映画に足りないのはこうした、線のギャグだと思う。フランク・タシュリンお得意の豪快な連鎖ギャグが炸裂しているのが本作である。

しかし、『腰抜け二挺拳銃』(脚本担当)や『ロック・ハンターはそれを我慢できるか?』と比べると、少々ギャグがキツいところがあり、ジェリー・ルイスの狂ったような笑いや空気の読めない行動は、どこか知的障がい者を小馬鹿にしているような気がしてくる。特に、序盤の食事シーンでケチャップをドバッと皿に盛り付け、手で食べる場面は下品でキツいところがある。

しかし、ギャグの連携はいつも通り冴え渡り、ナイフを投げつける悪ガキに振り回された末に、ドバッと溢れるウォーターサーバーの水を静止するため、ズボンにタンクを突っ込む場面は爆笑した。個人的に、フランク・タシュリン映画なら風刺としても鋭い『ロック・ハンターはそれを我慢できるか?』を「死ぬまでに観たい映画1001本」に選出してほしかったと思う。

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※MUBIより画像引用

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