汚れた顔の天使(1938)
ANGELS WITH DIRTY FACES
監督:マイケル・カーティス
出演:ジェームズ・キャグニー、パット・オブライエン、ハンフリー・ボガート、アン・シェリダン、ジョージ・バンクロフト、ビリー・ハロップ、ボビー・ジョーダン、レオ・ゴーシイ、ガブリエル・デル、ハンツ・ホールetc
評価:85点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
「死ぬまでに観たい映画1001本」掲載のギャング映画『汚れた顔の天使』を観ました。それにしても、ひと昔前なら「死ぬまでに観たい映画1001本」攻略の鬼門としてクラシック映画があったのですが、今やAmazon Prime Videoで次から次へと本気を出さないと入手できないような映画、例えば『ゴールド・ディガーズ』や『風雲のチャイナ』、『情熱の航路』などが配信されて随分と走りやすくなったものです(でもTwitter見ても挑戦者が現れては消えるを繰り返していて哀しいな)。
『汚れた顔の天使』あらすじ
J・キャグニーが本作でNY批評家協会賞男優賞を受賞したギャング映画。貧民街に住むロッキーとジェリーは、盗みを働きジェリーは逃亡に成功したが、ロッキーは捕えられてしまう。そして15年後、ふたリは再会を果たすが…。
※Amazonより引用
善人と悪人を繋ぐ絆
マーティン・スコセッシがいかにも好きそうな映画だ。悪ガキであるロッキー(ジェームズ・キャグニー)とジェリー(パット・オブライエン)。列車の貨物を強奪しようとして失敗。ロッキーだけ少年鑑別院送りとなってしまう。15年後、ジェリーは足を洗い聖職者として生きていた。一方で、ロッキーはギャングの道を突き進んでおり、ジェリーは彼のことを心配していた。そんな中ロッキーは悪ガキたちからスリに遭う。彼は追跡し、悪ガキたちを捕まえるが、持ち前のコミュ力で弟子にしてしまう。実はこの悪ガキたちはジェリーが面倒を見ている子でもあった。
本作はなんといってもジェームズ・ギャグニーの人間味溢れるギャングっぷりだろう。豪快でどこか憎めず、その心の隙に入り込むロッキーを熱演している。隙がありそうで全く隙を見せない演技が素晴らしく、例えば少年たちにお使いを頼んだり、一緒に賭け事をするが、1セント単位でちょろまかそうとする少年たちに強く「金を出せ」と言うのだ。大物ほど、金感勘定が細かいとはそのことで、その豪快さと繊細さによって画面の外側までカリスマ性の香りが広がるのだ。
また、ジェリーを守る為に裏工作をしたり、聖職者として生きる彼を比較的自由にさせているのもギャング映画として新鮮だ。安易な善人/悪人の対立構造にすることなく、善人悪人の前にある友情をひたすら描きこむ。それだけに、ラストのロッキーの行動に号泣しました。
「死ぬまでに観たい映画1001本」掲載のギャング映画の中で一番好きな映画となりました。